睾丸腫瘍10症例の検討 1971年より1974年までの3年6ヵ月の間に,原発性睾丸腫瘍10例を経験したので,年齢分布,患側,主訴,病現診断,治療法,予後についての検討を若干の文献的考察を加え報告した.初診時,10例とも,転移の徴候は認めなかったが,3例において静脈性腎盂撮影にて,上部尿管の外方への圧排像を認め,後腹腆リンパ節転移のためと考えた.病理組織学的診断では全例悪性腫瘍であり,7例はセミノーマ,3例は混合型であった.9例は高位除睾術と放射線療法を受け,転移の徴候を認める事なく生存している.残り1例は,高位除睾術と,放射線療法及び化学療法を受け,術後14ヵ月,ウィルヒョウの転移と縦隔洞の転移を認めながらも,生存している.