Online edition:ISSN 2758-089X
担癌生体における発熱の研究(その1)-肺癌患者における発熱の臨床的検討-
原発性肺癌並びに転移性肺癌41例に56回の発熱を認め,その発熱の原因や臨床的特徴を検討した.入院患者の入院期間の平均28%が発熱の期間であり,それは末期になる程増加していた.発熱の頻度は肺門型の肺癌でより多く,また病巣の拡がりが広い程多かった.発熱の原因としては,17回は感染によるものであり,11回は医原性,8回は腫瘍性,4回は肺線維症,16回は原因の明らかでないものであった.感染の起炎菌としては,大腸菌,肺炎球菌,緑膿菌,クレブシェラ属,結核菌などであった.感染性発熱には抗細菌性抗生物質の効果は良かったが,その他の原因によるものには,あまり効果がなかった.8回の発熱は腫瘍によるものと考えられたが,それを確実に知る事は困難である.従って腫瘍性発熱の特徴をもっと詳細に検討する事は重要であろう.
- 著者名
- 松島 敏春, 他
- 巻
- 1
- 号
- 2
- 頁
- 128-136
- DOI
- 10.11482/KMJ-J1(2)128