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Online edition:ISSN 2758-089X

頭部MRI上両側錐体路にT2高信号域を認めた脾静脈-腎静脈シャントによるAcquired hepatocerebral degeneration

患者は68歳女性.5か月前より徐々に動作緩慢や歩行障害が出現し当科を受診した.神経学的所見では,軽度の意識障害とasterixis を認め,左右差のない無動,痙固縮,下肢腱反射亢進,足クローヌスおよびバビンスキー徴候があった.頭部MRI 検査では,半卵円中心から内包後脚,および大脳脚にかけて拡散強調画像,T2強調画像,FLAIR 画像で高信号,T1強調画像で低信号の病変を認めた.採血ではアンモニア値が155 μg/dL と高値で,血清銅やセルロプラスミンは正常範囲内であった.脳波検査で基礎律動はθ波であったが,三相波は認められなかった.腹部造影CT 検査では,巨大な脾静脈-左腎静脈シャントを認め,Acquired hepatocerebral degenerationと診断した.蛋白制限食とラクツロース製剤内服を開始し,意識障害やパーキンソニズムなどの神経症状は改善し,アンモニア値は34 μg/dL と正常化したが,頭部MRI 病変の改善は認められなかった.本例は巨大脾腎シャントによるAcquired hepatocerebral degeneration(AHD)と考えられた.頭部MRIT2強調画像で両側錐体路に高信号病変を認めるAHD が散見され,文献的考察を含めて報告する.
著者名
深井雄太, 他
43
2
95-100
DOI
10.11482/KMJ-J43(2)95
掲載日
2017.11.9

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