h_kaishi

t_toukou

本邦におけるマダニ類人体寄生例の概観―文献的考察ー(4)タネガタマダニおよびヒトツトゲマダニ刺症例

 本邦で発生したタネガタマダニ(1953~2005年)およびヒトツトゲマダニ(1976~2005年)の人体寄生例の報文を通覧して疫学的に検討した.症例数はタネガタマダニが88例(男性32,女性44,性別不明12),ヒトツトゲマダニが32例(男性10,女性15,性別不明7)である.タネガタマダニは南西諸島を,ヒトツトゲマダニは北海道・四国・南西諸島を除く広い範囲に分布していた.患者の都道府県別発生数では,タネガタマダニは石川が11例(12.8%),ヒトツトゲマダニは長野が7例(22.6%)で最も多かった.タネガタマダニの患者は4~9月に発生しており,発生率は7月の30.6%をピークに,79.0%の患者が5~7月に集中していた.一方,ヒトツトゲマダニの患者は4~10月(8月を除く)に発生しており,発生率は6月の36.8%をピークに,63.2%が5~6月に集中していた.患者の年齢は,タネガタマダニが1~87歳で,70歳代(23.7%)が最も多く,ヒトツトゲマダニでは2~83歳で,50歳代(24.0%)が最も多かった.年齢と性別の関係は,タネガタマダニでは70歳代の女性(17.1%)が,ヒトツトゲマダニでは50歳代の女性(20.0%)が最も多かった.虫体の寄生部位は,タネガタマダニでは腹部が11.8%で最も多く,次いで胸部が10.5%の順で,ヒトツトゲマダニでは頸部・胸部・腕部が各12.5%で最も多く,次いで頭頂部・肩部・背部・大腿部が各8.3%の順であった.両種とも体幹部への寄生が多く,それぞれ50.0%と45.8%を占めていた.患者がマダニの寄生を受けた場所については,両種とも大多数が山岳地帯であった.(平成21年11月5日受理)
著者名
沖野 哲也,他
35
1
81-93
DOI
10.11482/35.081.2009_Igakukaishi_Okino_etal.pdf

b_download