坐骨部褥瘡から発症したフルニエ壊疽の1例 フルニエ壊疽は外陰部を中心に発症し,急速に進行する壊死性筋膜炎と定義される.早期の診断を行い,外科的デブリードマン,適切な抗菌薬の投与をはじめとした全身の集学的管理を要す,生命予後の不良な疾患である.症例は50歳代男性,脊髄腫瘍切除後であり胸部以下の感覚障害,対麻痺がある.2ヵ月前から左坐骨部褥瘡を認めていたが未治療であった.2日前からの意識障害を主訴に前医を受診し,CT にて褥瘡周囲の皮下に広範囲なガス貯留像を認めたため,当院に救急搬送された.外科的デブリードマンと抗生剤投与を行い,感染は消退したが,その後,臀部から肛門周囲に広範囲に組織欠損創が残ったため,薄筋皮弁での再建手術を行った.良好な経過を得たため経過に考察を加え報告する.