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Online edition:ISSN 2758-089X

当院における進行・再発乳癌に対するベバシズマブ・パクリタキセル併用療法の有用性の検討

抗血管内皮増殖因子(vascular endothelial growth factor, VEGF)モノクローナル抗体ベバシズマブが進行・再発乳癌の治療薬として日本においても2011年から使用されている.日本乳癌学会乳癌診療ガイドライン2018年においてHER2陰性転移・再発乳癌に対する1次・2次の化学療法にベバシズマブを併用することが推奨されている.今回,当院における進行・転移再発乳癌に対するベバシズマブとパクリタキセル同時併用療法(BP 療法)の有用性の検討を行った.対象患者は2011年9月~2018年10月に当科でBP 療法を導入した79症例で,電子カルテを参照して後方視的検討を行った.年齢の中央値は58歳.ホルモン受容体(hormone receptor, HR)陽性human epidermal growth factor receptor(HER)2陰性サブタイプが45例,HR 陽性HER2陽性サブタイプが2例,HR 陰性HER2陽性サブタイプが5例,HR 陰性HER2陰性(triple negative)サブタイプが27例であった.Stage Ⅳが24例,再発が55例であり,主な転移部位(重複あり)は骨が45例,肝が34例,肺が29例,胸膜が21例であった.前化学療法レジメン数の中央値は2レジメン(範囲:0-8)であった.奏効率は63.3%,無増悪生存期間(PFS)の中央値は5.4か月であり,全生存期間(OS)の中央値は9.4か月であった.HER2陰性症例における多変量解析の結果,performance status 2以上がOS を悪化させる因子であり(ハザード比 [HR] が2.85, p=0.002),triple negative サブタイプ(HR が2.44,p=0.025)と中枢神経転移あり(HR が3.24,p=0.045)がPFS を悪化させる因子であった.重篤な有害事象としては,消化管穿孔と皮膚・軟部組織潰瘍形成,縦隔気管瘻,肺膿瘍,脳出血,上部消化管出血,血尿,鼻出血が認められた.本研究対象は2次治療以降で使用された症例が多いため,既報の臨床試験の結果と比較するとPFS は短かったが,奏効率は同等であった.一方,重篤な有害事象も10% 以上の頻度で認められ,BP 療法施行時には慎重な観察が必要である.
著者名
齋藤 亙, 他
45
139-145
DOI
10.11482/KMJ-J201945139
掲載日
2019.12.9

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