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自殺目的に観賞用トリカブトを摂取した患者に対し内視鏡的除去が奏功した一例

トリカブトは山野に自生しており,山菜・薬草と間違われ誤食事故を引き起こしている.また自殺目的に用いられることもある.トリカブト中毒ではアコニチンなどのアルカロイドにより経口摂取間もなく重症不整脈をきたし,多量摂取例では致死的となりうる.トリカブトを摂取した患者に対し内視鏡的除去を行い良好な予後を得たので報告する.症例は20代女性,自殺目的に観賞用トリカブトの根を切って飲み,当院へ救急搬送された.来院時自覚症状を認めなかった.胃洗浄を行ったがトリカブトは確認できなかった.摂取後早期であり,トリカブトの根を切って咀嚼せず飲み込んだという病歴から,トリカブト除去目的に上部消化管内視鏡を施行したところ胃内にトリカブトの根を認め内視鏡的に除去しえた.入院後症状の出現なく,心電図変化も認めなかった.経過良好であり翌日退院となった.来院時の胃液ではヒパコニチン 5.1 ng/ml,メサコニチン 21.0 ng/ml,アコニチン 1.1 ng/ml,ベンゾイルメサコニン 3.4 ng/ml が検出されたが,血清,尿からは検出されなかった.一般的にトリカブト中毒が疑われた場合,吸収阻害を目的に胃洗浄さらに活性炭の投与を行うとされている.本症例では,病歴から固形のトリカブトが胃内に残っていると推測し,早期に内視鏡的除去を行った結果,中毒症状を呈することなく経過した.固形物を咀嚼せずに飲み込んだこと,摂取から時間が経っていないこと,物質が吸収された場合致死的であることを満たす場合には,有効な治療法となる可能性がある.
著者名
高橋 治郎, 他
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1-6
DOI
10.11482/KMJ-J202147001
掲載日
2021.2.1

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