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突然発症の心窩部痛で診断した孤立性総肝動脈解離の1例

症例は69歳,男性.近医でパーキンソン病,肺気腫およびアルコール性肝障害などと診断され加療中であった.突然,心窩部痛を認め,改善しないため当院に救急搬送となった.心窩部に圧痛を認めたが腹膜刺激兆候はなく,腹部造影CT で総肝動脈解離と診断し同日入院となった. 心窩部痛は持続していたが腸管虚血所見を認めなかったことから,アセトアミノフェン点滴による疼痛コントロール,絶食による腸管安静や補液を行い翌日には症状が改善した.その後も症状の再燃なく,第8病日の腹部造影CT では総肝動脈解離の偽腔における血栓像は縮小し,末梢血管の血流は保たれていたため同日に退院となった.孤立性腹部内臓動脈解離は稀な疾患であり,特に孤立性総肝動脈解離の報告例は少ない.孤立性総肝動脈解離を含む腹部内臓動脈解離は中高年の男性に多く,強い腹痛に対し腹膜刺激兆候を認めないことが特徴である.本症例のように腹部所見が乏しく突然発症の腹痛を認める患者では,孤立性総肝動脈解離を含む腹部内臓動脈解離も急性腹症の鑑別疾患の一つとして考慮する必要がある.
著者名
依光 大祐, 他
47
15-21
DOI
10.11482/KMJ-J202147015
掲載日
2021.2.1

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