h_kaishi

t_toukou

高齢者の脳内出血回復期における意識障害の分類 -簡便なスケールの確立に向けて-

脳卒中などの慢性期の意識障害スケールとして利用されているComa Recovery Scale-Revised(CRS-R)を踏襲して,簡便に障害の程度のランク付けが可能なスケールを日本語で作成し,川崎意識障害回復スケールと名付けた.これは,昏睡,植物状態,最小意識状態(2段階),最小意識状態から脱した状態,正常意識状態,からなる6ランクのスケールであり,CRS-R には表記されていない具体例を追加し,更に表情もスケールに追加した.これを実際の臨床で用いる際に,ランク付けが観察者間で大きな相違がないかを検証した.75歳以上の特発性脳内出血症例の中で,血腫減圧術を施行し,かつ退院時にmodified Rankin Scale で重度の障害(ランク5)と判定された8症例を対象に,退院時意識レベルを後方視的にランク付けした.観察者は医師3名,看護師3名,リハビリ療法士3名で,川崎意識障害回復スケールの説明を受けた後で,独立してランク付けを行った.結果は9症例中2症例で全員が同じランク,5症例で1名の観察者のみが1ランク異なったランクを付けており,2名以上が異なるランクを付けたのは2症例で,ケンドールの一致係数Wは0.871(p < 0.001)と,観察者が異なっても安定したランク付けになると考えられた.状態の改善期において観察者が同時には改善徴候に気付けないこともあり,ランク付けの相違は完全には防ぐことはできないが,少なくするためには,後方視的研究においてはカルテの見逃しを避けるために複数の観察者で行うこと,またスケールの理解不足も原因となるが,これを防ぐためには医療チームで定期的な振り返りを行い,スケールに対する共通の認識を持つ必要があると考えた.このスケールは症例間での意識レベルの比較が可能であり,高齢者への脳神経外科的な治療介入の効果を検討する際に有用と考えられた.
著者名
谷口 美季, 他
47
23-33
DOI
10.11482/KMJ-J202147023
掲載日
2021.3.26

b_download