h_kaishi
Online edition:ISSN 2758-089X

甲状腺被包型乳頭癌の1例

甲状腺被包型乳頭癌は比較的まれであり,非被包型乳頭癌と比べて再発,癌死もほとんどなく予後は良好であるとされている.また,線維性被膜を有することから超音波検査では濾胞性腫瘍との鑑別は困難な場合がある.症例は38歳の女性.前医の超音波検査で甲状腺左葉に2.2 cm 大の充実性腫瘤が認められた.穿刺吸引細胞診で濾胞性腫瘍の疑いと診断され,当院に手術目的で紹介された.超音波検査で甲状腺左葉から峡部にかけて2.5 × 2.1 × 1.6 cm 大の境界部低エコー帯を一部に伴う充実性腫瘤を認めた.濾胞性腫瘍の疑いで甲状腺左葉峡部切除術を施行した.病理組織学的に線維性被膜及び乳頭癌の核所見として矛盾しない腫瘍細胞が乳頭状構造をとる部分が認められたことにより,被包型乳頭癌と診断した.超音波検査で明らかな頸部リンパ節腫大は指摘できなかったため再手術は行わずTSH 抑制療法を行いながらで経過観察中である.
著者名
岸野 瑛美, 他
47
125-131
DOI
10.11482/KMJ-J202147125
掲載日
2021.11.2

b_download