h_kaishi
Online edition:ISSN 2758-089X

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透析患者に発症した多発小腸憩室の憩室穿通の1例

小腸憩室は比較的稀な疾患で,多くが無症状で経過するが,穿孔した場合は腸間膜内に穿通し膿瘍形成をきたす.高齢者に多く,その診断および治療の遅れから重篤な経過をたどることも少なくない.その診断にはコンピュータ断層撮影(CT)が有用とされているが,穿孔部位や憩室の特定は困難とされ,術前に指摘できるものは決して多くない.透析患者では高リン血症に対し陰イオン交換樹脂剤などが一般的に使用されるが,消化管穿孔の注意が記載されている.今回我々は,透析患者の腸管穿孔の原因検索に体外式超音波(US)が有用であった1例を経験したので,文献的考察を含めて報告する.症例は70歳台男性,18年前から血液透析を行っている.10日前に発熱で近医を受診し,保存的に経過を見ていたが炎症反応の上昇を認め当院紹介受診した.身体所見は心窩部付近に軽度の圧痛を認めたが腹膜刺激兆候は明らかでなかった.単純CT で消化管外のfree air が疑われ,精査目的にUS が行われた.US では空腸に多発している憩室と,憩室周囲の膿瘍形成およびその内部のfree air と思われる点状高エコーが認められ,小腸憩室穿通と診断した.同日小腸切除術が行われ,病理組織学的検索の結果,US と同様の所見であった.また穿通した憩室にセベラマー結節が認められ,憩室穿通に関与した可能性が示唆された.US は透析患者における憩室穿通の診断に有用である.
著者名
中藤 流以, 他
48
17-25
DOI
10.11482/KMJ-J202248017
掲載日
2022.7.13

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