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Online edition:ISSN 2758-089X

機械学習を用いた熱傷患者の入院死亡予測に関する検討

背景:熱傷の予後予測指標には様々な指標(従来指標)が提唱されているが,機械学習を用いた予後予測と直接の比較は行われていない. 目的:熱傷患者の予後予測について従来指標と機械学習モデルとを比較検討する.また,高齢者における予後予測精度を検証する. 対象:2011年4月から2019年3月までに一般社団法人日本熱傷学会熱傷入院患者レジストリーに登録された20歳以上の患者(JSBI 群)および,川崎医科大学附属病院に2001年1月からの19年間に熱傷で入院した20歳以上の患者(KMS 群)を対象とする. 方法:JSBI 群を,JSBI-train 群とJSBI-test 群にわけ,JSBI-train 群を用いて機械学習モデルを作成し,JSBI-test 群で従来指標および機械学習モデルの予後予測能を,ROC 解析を用いて検討した.また,KMS 群を用いて外部検証を行った.JSBI-test 群を用いて高齢者における従来指標と機械学習モデルの予後予測能を検証した. 結果:従来指標ではRevised baux score(RBS)が最も診断精度が高かったが,機械学習モデルすべてがRBS を上回る精度を示した.年齢層別解析により従来指標,機械学習モデルのいずれにおいても80歳以上の患者でその精度が低下しており,Prognostic burn index(PBI)よりもXGBoost モデルの精度が高かった(P = 0.036).外部検証においても十分な予測能を有していた. 結語:熱傷の予後予測において機械学習モデルは従来指標を上回る精度を示した.また,高齢者において,本邦で一般的なPBI よりもXGBoost モデルが高い精度を示したがその差は僅かであり,併存疾患や治療撤退などの指標を投入することで,機械学習モデルの精度が上がる可能性がある.
著者名
山田 祥子, 他
49
7-18
DOI
10.11482/KMJ-J202349007
掲載日
2023.6.30

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