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Online edition:ISSN 2758-089X

4型胃癌類似所見を呈した乳癌による転移性胃腫瘍の3例

緒言:転移性胃腫瘍は全胃腫瘍のうち0.3%と比較的稀である.転移性胃腫瘍の原因として,乳癌は悪性黒色腫と並び多く,乳癌症例では剖検例も含めると2~18%に胃転移を認められている.上部消化管内視鏡(EGD)所見は4型進行癌類似が最多とされている.生検ではHE 染色のみでの診断は困難で,GATA3 等の乳癌マーカーおよび原発胃癌特異的マーカーとされるHNF4A 等による免疫組織学的検討が鑑別に重要とされている.乳癌による転移性胃腫瘍と診断した3例を報告する. 症例1:60歳台,女性.202X 年9月に左乳癌(浸潤性乳管癌),骨転移の診断で薬物治療が開始された.202X +1年9月から心窩部痛が出現しEGD の結果,体上部に4型胃癌類似の所見が認められた.生検で低分化~未分化腺癌,GATA3 陽性,HNF4A 陰性で乳癌による転移性胃腫瘍と診断した. 症例2: 50歳台,女性.201X 年10月に右乳癌の診断で外科的治療が行われた(浸潤性小葉癌)後,薬物療法が行われたが,その後胸膜,骨転移が出現した.保存的治療が続けられ,201X +4年9月のPET-CT で胃壁の集積が出現した.EGD の結果,胃体上部~中部に4型進行癌類似の所見が認められた.生検で低分化腺癌,GATA3 陽性,HNF4A 陰性で乳癌による転移性胃腫瘍と診断した. 症例3: 60歳台,女性.200X 年7月に左乳癌の診断で,薬物治療後,200X 年+1年11月に外科的治療が行われた(浸潤性乳管癌で一部に浸潤性小葉癌).200X +12年11月に肝転移と骨転移が出現し薬物治療が再開され転移は縮小した.200X +16年5月から心窩部不快感が出現しEGD の結果,胃穹窿部~体下部に4型進行癌類似の所見が認められた.生検で低分化腺癌,GATA3 陽性,HNF4A 陰性で乳癌による転移性胃腫瘍と診断した. 結語:乳癌の転移性胃腫瘍は4型胃癌類似の所見となることがある.乳癌既往のある症例では転移性腫瘍の可能性を考慮し,免疫組織学的検討を行うことが重要である.
著者名
中藤 流以, 他
49
43-58
DOI
10.11482/KMJ-J202349043
掲載日
2023.11.7

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