Online edition:ISSN 2758-089X
初回治療から10年以上の無病期間を経て発症した副甲状腺腺腫の1例
原発性副甲状腺機能亢進症(PHPT)は,腺腫,過形成,癌によって引き起こされる.多くは腺腫が原因となり,通常は単発であるが,稀に多腺腺腫を伴うことがある.今回我々は,初回治療から10年以上の無病期間を経て発症した副甲状腺腺腫の1例を経験した. 症例:45歳,女性.家族歴に特記事項なし.X-12年,原発性副甲状腺機能亢進症 (PHPT) に対し,左上下副甲状腺摘出術施行.左下副甲状腺腺腫の診断であった.以降は他院にて,血液検査で経過観察を行っていた.X年から高Ca 血症の再燃を認め,同年,右上下副甲状腺摘出術+副甲状腺自家移植を施行した.病理組織学検査,臨床経過から右下副甲状腺腺腫の再燃と診断した.既往歴に直腸神経内分泌腫瘍があることなどから,MEN 1遺伝子検査を行ったが,変異は認めなかった.副甲状腺腺腫はPHPT の原因で最も一般的であるが,ほとんどが単発で発生し,多腺腺腫は稀である.また,本症例は初回治療から10年以上経過し出現しており,極めて稀な症例と考える.
- 著者名
- 常 梓, 他
- 巻
- 49
- 号
- 頁
- 59-63
- DOI
- 10.11482/KMJ-J202349059
- 掲載日
- 2024.1.22