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Online edition:ISSN 2758-089X

緩和ケア病棟における終末期癌患者に対する免疫栄養指数の意義

背景:癌患者における炎症や免疫,悪液質状態を反映する免疫栄養指数として,Glasgow prognostic score(GPS),neutrophil-lymphocyte ratio(NLR),platelet-lymphocyte ratio(PLR),lymphocyte-monocyte ratio(LMR)などが報告されているが,緩和ケア病棟における終末期癌患者に対して評価した報告は少ない.今回,緩和ケア病棟における癌終末期患者において免疫栄養指数の意義を明らかにするため検討を行った. 方法:対象は2020年11月から2021年6月までに当院緩和ケア病棟に入院し死亡退院した癌患者,187例である.NLR,PLR,LMR については,入院後30日以内の死亡例を陽性としたそれぞれのROC 曲線からカットオフ値を求め,群別した. 結果:悪液質であるGPS2の患者は152名(81.7%)であった.生存期間中央値(Median Survival Time: MST)はGPS0,1群は17.0日,GPS2群は11.9日で,GPS2群は有意に生存期間が短かった(p = 0.0094).NLR 低値群で19.0日,NLR 高値群で10.0日で,NLR 高値群が有意に予後不良であった(p < 0.0001).LMR 高値群で15.0日,LMR 低値群で12.0日とLMR 低値群が有意に予後不良であった(p = 0.0006).予後に有意差を認めたGPS,NLR,LMR で多変量解析したところNLR のみが独立した予後因子であった(p = 0.0226, hazard ratio 1.5048,95%(1.06, 2.13)). 考察:8割以上の例でGPS2であり,緩和ケア病棟での癌終末期患者の悪液質状態を反映しているものと考える.NLR は,癌終末期患者の短期予後を予測する因子として一定の意義を認めた.
著者名
山田 泰史, 他
50
5-12
DOI
10.11482/KMJ-J202450005
掲載日
2024.5.30

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