Online edition:ISSN 2758-089X
当院における胃粘膜関連リンパ組織型節外性辺縁帯リンパ腫に対する放射線治療成績,ならびに放射線性肝障害と腎症のリスク因子の検討
目的:胃粘膜関連リンパ組織型節外性辺縁帯リンパ腫(extranodal marginal zone lymphoma of mucosa-associated lymphoid tissue:MALT リンパ腫)の放射線治療成績の算出と,急性期肝障害例や晩期腎症例の線量評価とリスク因子の探索. 材料方法:2014-2021年に三次元原体放射線治療を受けた16例の腎疾患のないLugano分類Ⅰ-Ⅱ期の胃MALT リンパ腫を後方視的に検討した.成績は,3年全生存率と無病生存率で評価し,肝障害の評価はalanine aminotransferase(ALT)値,aspartate aminotransferase(AST)値をCommon Terminology Criteria for Adverse Events version 5.0を用い,腎症はestimated glomerular filtration rate(eGFR)値を用い,Kidney Disease Improving Global OutcomesのChronic Kidney Disease(CKD)分類で評価した.また,計画標的体積,肝,腎や各重複部の線量分布,線量体積ヒストグラムより平均照射線量や最大照射線量を肝障害,腎症の有無の群にわけ検討し,さらに,年齢,性別などの患者因子と,総線量や照射門数などの治療因子を用いて,リスク因子を統計学的に解析した. 結果:観察期間中央値は46.5ヵ月.3年全生存率,無再発生存率は100%.治療後1ヵ月でGrade2 のALT とAST 値上昇を1例で認め,5-10 Gy の低線量が肝の広範に照射されていた.また,CKD 分類Grade3a 以上の4例では,多変量解析で年齢が有意な変数であった. 考察:急性期肝障害例は,低線量域が誘因と考えられ,また晩期腎症では,治療時の年齢がリスク因子であった.
- 著者名
- 釋舍 竜司, 他
- 巻
- 50
- 号
- 頁
- 43-56
- DOI
- 10.11482/KMJ-J202450043
- 掲載日
- 2024.8.19