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Online edition:ISSN 2758-089X

重症下肢阻血肢を持った血液透析患者における背景因子の検討

透析患者における末梢動脈疾患(PAD)の悪化は,生命も脅かすリスクである.外科的治療目的のPAD による重症下肢虚血(CLI) の背景について検討を行った.維持透析を行っているCLI 患者32名およびPAD 既往のない患者23人を対照(C)群とした.CLI(P)群は19名の糖尿病患者と13人の非糖尿病患者に分けられた.評価項目は,P群は入院後初回の血液透析施行時の年齢,透析歴,性別,糖尿病(DM)の有無,身長,ドライウエイト,BMI,収縮期血圧,拡張期血圧,Hb,血清Alb,血清Cr,CRP,HDL-C,non HDL-C,血清P,血清補正Ca(CCa),グリコアルブミン,HbA1C,BNP,intact PTH とした.対照群は2018年1月の第1週の血液透析開始時のデータを用いた(研究1).CLI 加療目的にて受診した32名についてDM 群と非DM 群とで再検討を行った(研究2).拡張期血圧(mmHg)(P群66.7,C群75.6),Hb(g/dL)(P群9.38,C群10.91),血清Alb(g/dL)(P群2.95,C群3.62),血清Cr(mg/dL)(P群8.05,C群9.61),CRP(mg/dL)(P群3.97,C群0.12),HDL-C(mg/dL)(P群36.1,C群47.6)に有意差を認めた.P群をDM の有無で検討した結果は,平均年齢(歳)(DM 有67.7,無76.0),平均透析歴(年)(DM 有8.5,無19.4)と年齢,透析歴ともにDM 有の方が若く短かかった.CLI 発症時の患者背景としては,感染症を含む炎症状態およびHb 低値,Alb 低値といった低栄養状態,HDL- C低値,拡張期血圧低値といった動脈硬化の存在が強く関与していると考え,糖尿病CLI 患者ではより若年で,かつ透析歴が短期間で発症していたことからより積極的な関与が重要と考えた.
著者名
大城 義之, 他
50
77-83
DOI
10.11482/KMJ-J202450077
掲載日
2024.11.19

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