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Online edition:ISSN 2758-089X

胸膜炎症状で発症し自然縮小した胸腺腫の1例

症例は36歳男性.前胸部痛を主訴に近医を受診し,胸部異常陰影を指摘され当院に紹介となった.当院初診時に胸痛は軽快していたが,胸部CT で前縦隔に70×45mm の腫瘍と右胸水貯留・心嚢液貯留を認め,胸腺腫の疑いで当科に紹介となった.当院紹介後1ヶ月の術前CT では腫瘍径は60×35mm,約10%の縮小を認め,右胸水や心嚢液は消失していた.診断と治療も兼ねて胸骨正中切開で拡大胸腺全摘術を施行した.病理検査の結果,病変は明瞭な被膜を有し,割面では分葉状構造を呈する充実性病変と境界明瞭な壊死病変や嚢胞性病変を認め,組織学的にはTypeB1+ B2の胸腺腫で正岡分類Ⅱb期と診断された.今回我々は胸痛や胸水貯留などの胸膜炎症状を伴って発見され,経過観察中に自然縮小を認めた胸腺腫の1例を経験したので文献的考察を加えて報告する.
著者名
前田 愛, 他
51
1-6
DOI
10.11482/KMJ-J202551001
掲載日
2025.3.5

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