h_kaishi
Online edition:ISSN 2758-089X

家族性甲状腺髄様癌として診断,治療後38年で褐色細胞腫が発症したMEN2A の1例

家族性甲状腺髄様癌(familial medullary thyroid carcinoma:FMTC) と考えられていた甲状腺髄様癌(medullary thyroid carcinoma:MTC) と診断してから38年後に褐色細胞腫(pheochromocytoma:PCC) を発症した多発性内分泌腫瘍症2 型(multiple endocrine neoplasia type 2:MEN2)の1例を経験した.症例は58歳,女性で他院にてMTC と診断され甲状腺全摘術を施行された.家族内に複数のMTC の発症を認めたためFMTC と考えられていた.術後に肝転移・頸部リンパ節再発があり,化学療法および手術施行し,その後は骨および縦隔リンパ節再発に対して経過観察を行っていた.MTC 発症から36年目に当院へ転院,38年目にPCC を発症したことでMEN2A と診断された. FMTC はMEN2A のPCC や副甲状腺機能亢進症(primary hyperparathyroidism:PHPT)の浸透率が低いMEN2A の亜型と考えられている.本症例は,MTC の家族歴もありFMTC と考えていたが,MTC 発症後38年でPCC を発症した稀な経過をたどった症例である.
著者名
太田 裕介, 他
51
27-32
DOI
10.11482/KMJ-J202551027
掲載日
2025.9.19

b_download