
Online edition:ISSN 2758-089X
成人閉塞性睡眠時無呼吸症の性別差の検討
背景:閉塞性睡眠時無呼吸症(OSA)は睡眠中に上気道が閉塞することにより無呼吸,いびきや日中の眠気を認める疾患である.臨床的には男性に多いと考えられているが,一般住民を対象とした研究では男女差は無いとする報告も認められ,女性のOSA が過小診断されている可能性も指摘されている.今回,女性OSA の臨床的特徴を把握するために,男性との比較検討を行った. 方法:川崎医科大学附属病院耳鼻咽喉・頭頸部外科を受診し OSA が疑われ睡眠ポリグラフィー(PSG)を施行しApnea-Hypopnea Index(AHI)が5以上でOSA と診断された18歳以上の症例747例(男性527例,女性220例)を対象とした.PSG の結果に加えて,各種睡眠問診票[Japanese Epworth Sleepiness Score (JESS), Athens Insomnia Scale (AIS), Pittsburgh Sleep Quality Index (PSQI)]の結果を男女間で比較検討した. 結果:女性よりも男性の方がPSG各種パラメーターは悪かったが,PSQIは女性の方が高かった.50歳以下および51歳以上にわけてOSA の男女間の比較検討を行ったところ,50歳以下では女性の方がBMI は高く,ESS 高値,PSQI のカテゴリーでは入眠障害および眠剤使用が有意に高かった. 結論:女性 OSA の臨床的特徴として,50歳以下の女性は,OSA の4つの要因のうち,主に肥満による上気道の解剖学的狭窄と入眠障害などから推測される低い覚醒閾値が影響している可能性が示唆された.
- 著者名
- 若林 時生, 他
- 巻
- 51
- 号
- 頁
- 33-40
- DOI
- 10.11482/KMJ-J202551033
- 掲載日
- 2025.11.19
