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Online edition:ISSN 2758-089X

閉塞性睡眠時無呼吸症における鼻症状と睡眠QOL

背景:閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)とアレルギー性鼻炎や慢性副鼻腔炎などの鼻疾患は,日常的な臨床現場で頻繁に観察される.鼻疾患は睡眠障害を引き起こすと考えられているが,鼻症状の重症度とOSA 患者の睡眠QOL の関連の詳細は不明である.そのため当院で実施した終夜睡眠ポリグラフィー(PSG) 検査を実施したOSA 患者を対象に鼻症状と睡眠QOL の関連を検討した. 方法:2017年4月1日~2022年3月31日までに当院で PSG を施行し,OSA と診断され,BMI30未満であった437例を対象とした.鼻症状とPSG 各種パラメーターおよび各種睡眠問診票[Japanese Epworth Sleepiness Score (JESS), Athens Insomnia Scale (AIS), Pittsburgh Sleep Quality Index (PSQI)]の結果を元に検討を行った. 結果:鼻アレルギー診療ガイドラインによる鼻症状重症度で分類したところ,無症状144例,軽症194例,中等症63例,重症23例,最重症13例であった.PSG 各種パラメーターは鼻症状重症度による差を認めなかった.しかし,鼻症状が悪化するにともない,3種類すべての各種睡眠問診票の結果は有意に悪化し,PSQI カテゴリーでも睡眠困難や日中の覚醒困難が有意に悪化した. 結論:今回,BMI30未満の OSA 患者を対象にして検討し,鼻症状の悪化が睡眠 QOL の悪化につながることを示した.鼻症状を管理することはOSA 患者の睡眠の質の改善のために重要であることが分かった.
著者名
若林 時生, 他
51
41-48
DOI
10.11482/KMJ-J202551041
掲載日
2025.12.9

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