Online edition:ISSN 2758-089X
本邦におけるマダニ人体寄生例の概観 ―文献的考察ー(1)タカサゴキララマダニ刺症例
1960年~2005年に本邦で発生したタカサゴキララマダニ人体寄生例の報文を通覧して疫学的に検討した.症例数は108例(男性61,女性39,性別不明8)である.患者の都道府県別発生数では宮崎が14例(13.0%)で最も多かった.患者は2~12月の間に発生していたが,発生率は6月の20.5%をピークに,87.5%が4~9月に集中していた.患者の年齢は2~92歳で,70歳代が25%で最も多かった.また,患者の年齢と性別の関係では,70歳代の男性が17%で最も多かった.虫体の寄生部位は,大腿部が17.9%で最も多く,次いで肛門付近が8.4%,以下,腹部・陰嚢・趾間がそれぞれ7.3%の順で,下半身への寄生が69.5%(66例)を占めていた.患者が虫体の寄生を受けた場所は,多くが山岳地帯であったが,その他に昆虫採集・キャンプ・自宅庭・飼い犬との接触などがあった.
(平成19年9月20日受理)
- 著者名
- 沖野哲也,他
- 巻
- 33
- 号
- 4
- 頁
- 321-331
- DOI
- 10.11482/2007/KMJ33(4)321-331,2007.pdf