h_kaishi
Online edition:ISSN 2758-089X

穿刺吸引困難な甲状腺嚢胞の新たな治療法

 甲状腺嚢胞性疾患は,外来診療においてよく経験する.診断と治療を兼ねて穿刺吸引細胞診をおこなうことが多いが,ときに嚢胞内容が非常に粘調なため,吸引できない場合がある.そのような症例に良性と診断を下し,経過観察でよいと判断しても,本人が違和感や圧迫感を訴え,手術を希望することもある.症例は,67歳女性.3.9×2.7×2.5cmの左腺腫様甲状腺腫に3.6×2.9×1.9cmの嚢胞を合併.穿刺吸引を行うも内容が非常に粘調で,ほとんど吸引できないため,嚢胞内容の希釈と自覚症状の軽減を目的としてリン酸ベタメタゾンナトリウム(4mg)を嚢胞内に注入.1週間後,外来において穿刺吸引を安全かつ容易に施行し,頚部の腫脹と圧迫感が軽減し,本人の高い満足を得られた.この方法は安全,簡単で費用がかからず,更に高い満足が得られたので報告する. (平成20年5月9日受理)
著者名
保田 健太郎,他
34
3
211-216
DOI
10.11482/2008/KMJ34(3)211-216.2008.jpn.pdf

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