Online edition:ISSN 2758-089X
虫垂炎に続発したと考えられる回盲部放線菌症の1例
急性虫垂炎が発症の誘因となったと思われる放線菌症の1例を経験した.症例は17歳,男性.平成16年11月下旬から腹痛と発熱が続き,約3週間経っても改善しないため来院した.右下腹部に圧痛を伴う腫瘤を触知し,発熱および白血球数の上昇も認めた.腹部CT検査,超音波検査では虫垂周囲の回盲部に膿瘍を疑わす像を認めたため,虫垂炎に起因する回盲部周囲膿瘍の術前診断で緊急手術となった.術中所見では,病変は手拳大で盲腸を中心に形成され,壊死に陥った虫垂と一塊となっていた.高度の膿瘍形成を伴った壊死性虫垂炎と診断し,手術は回盲部切除,膿瘍ドレナージ術を行った.術後,病理組織学的にて,回盲部放線菌症と診断された.術後経過は良好で,第11病日に退院した.放線菌症は稀な疾患であるが,膿瘍形成性虫垂炎と診断されている疾患には本症の併存も念頭におくべきと考えられた.(平成20年1月24日受理)
- 著者名
- 藤倉 博之,他
- 巻
- 34
- 号
- 2
- 頁
- 133-137
- DOI
- 10.11482/2008/KMJ34(2)133-137.2008.jpn.pdf