h_kaishi
Online edition:ISSN 2758-089X

Chlamydiae と Bartonella henselae の血清学的交差性の解析

 Chlamydia trachomatis感染症の診断の多くは血清学的になされているが,クラミジア属とバルトネラ属間の血清学的交差反応が報告された. C.trachomatis感染症患者15例の血清及び免疫家兎血清のBartonella henselaeとの交差性を調べたところ, B.henselaeに対して15例中7例の患者血清が抗体価16~256倍の交差を認めた.これら患者血清をC.trachomatisで吸収すると,6例ではB.henselae抗体価が除去されたが,残り1例では不変であった.この結果から1例の患者血清の抗C.trachomatis抗体価はB.henselaeとの交差性による偽陽性であったことが示唆された.免疫プロット解析によって抗C.trachomatis血清はB.henselaeの40, 48, 60 kDa 蛋白に対する抗体を含むこと,抗B.henselae血清はC. trachomatisの48 kDa 蛋白と反応する抗体を含むことが判明した.これらの結果は抗C.trachomatis抗体測定に先立ってB.henselae菌体で被検血清を吸収し,交差性による偽陽性を排除する必要があることを示している.       (平成11年9月16日受理)
著者名
池上 元保
25
4
247-255
DOI
10.11482/KMJ-J25(4)247-255.1999.pdf

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