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人工股関節全置換術後15年以上経過例の長期成績とX線学的検討

 川崎医科大学附属病院で施行したCharnley 人工股関節全置換術(Charnley THA) の15年以上の長期成績について検討した.X 線学的評価を中心にインプラントの15年累積生存率,術前の設置母床の評価,インプラントの設置状態,手術直後の骨セメントの充填状態とその後の変化,ステムの経年的沈下量,大転子偽関節の有無,ポリエチレンソケットの線摩耗量,の7項目について調査した.その結果,股関節の生物学的分類やインプラントの設置位置によって最終成績に有意差は無く,また大腿骨の髄腔形状とステムの沈下量(mm/ 年)との間にも相関は認められず,設置母床の状態やインプラントの設置位置は長期成績に影響していないと考えられた. 一方,手術直後のセメント充填が良好な群はソケット・ステムともに有意にインプラント生存率が高く,またステムの沈下量においても少ない傾向にあり, THA の長期成績におけるセメント充填手技の重要性が強く示唆された.また大転子偽関節群は術後早期より生存曲線の低下が認められ,大転子偽関節はインプラント生存率に悪影響を及ぼしていると考えられた.ポリエチレンソケットの摩耗に関しては,インプラントの弛みの有無やインプラント周囲の骨溶解の有無によってソケットの線摩耗量に有意差こそ無かったが,弛み群や骨溶解群は線摩耗量が多くなる傾向にあり,ポリエチレン摩耗粉の発生量が母床骨の脆弱化に少なからず影響しているものと考えられた.(平成22年1月12日受理)
著者名
石坂 直也
36
2
79-96
DOI
10.11482/KMJ-J36(2)079

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