h_kaishi
Online edition:ISSN 2758-089X

動物甲状腺およびヒト結節性甲状腺腫における201TlClの集積性について

甲状腺scan剤としての201TlClの有用性について,基礎的及び臨床的に検討した. 1. 201TlClのWistar系ラットにおける臓器集積は腎,甲状腺,肺,心,十二指腸,横紋筋,肝,血液の順であった. 2. 201TlClはMercazole, TSH投与Wistar系ラットでは甲状腺集積性が高く,組織学的には甲状腺濾胞上皮細胞はより円柱状をしめした.T3投与群では逆であった. 3. Wistar系ラットの諸臓器,特に甲状腺では42KCIと201TlClの集積性は正の一次相関を示した.この関係は,甲状腺機能を変化せしめても移植癌でも同様であった. 4.発育速度の早いマウス皮下移植腫瘍Adenocarcinoma 755 は,発育の遅いC5760よりも201TlClの集積性が高い. 5.ヒト甲状腺癌の201TlCl陽性率は85%,腺腫60.9%,腺腫様甲状腺腫42.6%,のう腫0%である.のう胞の各疾患への混在は201TlClの集積率を低下させる. 6.転移リンパ腺に集積がみられた事は,極めて有用であった. 7.ヒト甲状腺のT/N比は,癌と濾胞腺腫では前者が高値を示し,有意差(p<0.05)を認めた.
著者名
谷囗 達吉
5
3.4
214-228
DOI
10.11482/KMJ-J5(3.4)214

b_download