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虫垂原発粘液産生腫瘍の切除11症例に関する検討

虫垂原発粘液産生腫瘍はWHO 分類に基づき低異型度虫垂粘液性腫瘍(Low-grade appendiceal mucinous neoplasm,以下LAMN)と粘液癌に分類される.当科にて2010年4月〜2018年11月までに外科的切除された11症例を集積検討した. 11症例の内訳は年齢が27~88歳(中央値61歳)で男女比は男7人,女4人であった.主訴は腹痛が6人で無症状が5人であった.病理診断での腫瘍最大径は3〜12 cm(平均5.9 cm)であった.術前よりLAMN と疑われた症例は7例で,虫垂腺癌の術前診断に至った症例は1例であった.虫垂腫瘍との術前診断に至らなかった3症例のうち,虫垂炎の術前診断で虫垂切除術施行後に病理診断で判明したものが2例,十二指腸潰瘍穿孔で緊急手術を行った際に合併切除した虫垂組織より偶然発見されたものが1例であった.術式は虫垂切除のみが3例,回盲部切除が5例,右半結腸切除が3例であった.予定手術は6例で緊急手術が5例であった.最終病理診断(大腸癌取り扱い規約第9版に準拠)はLAMN が7例で虫垂腺癌が2例,粘液嚢胞が2例であった.術後入院期間は2〜47日(中央値12日)で,虫垂腫瘍切除に関連する術後合併症はなかった.LAMN は比較的稀な疾患であるが,腫瘍破裂により粘液が漏出することで腹膜偽粘液腫をきたす可能性がある.そのため,再発を引き起こさないためには①画像検査などでの術前診断(術中診断を含む),②術中に粘液漏出させない術式選択,③術後病理診断で判明した場合の追加治療の適否,についてその都度慎重に判断する必要がある. LAMN は低悪性度腫瘍にも関わらず再発の危険性があるため,画像検査で疑った場合は再発防止を念頭においた術前評価と治療方針の策定が必要であり,切除後の厳重フォローも重要である.
著者名
辻本 琴音, 他
46
73-79
DOI
10.11482/KMJ-J202046073
掲載日
2020.12.28

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