Online edition:ISSN 2758-089X
内部嚢胞液が無色透明であった腺腫様甲状腺腫の1例
甲状腺嚢胞は臨床上よく遭遇し,その嚢胞液は褐色であることが通常であるが,今回無色透明の嚢胞液を貯留していた腺腫様甲状腺腫の1例を経験したので報告する.90歳の女性.他院入院時のCT 検査で巨大な甲状腺腫瘤を認めたため当科紹介となった.頸部超音波検査で右葉に巨大な嚢胞性腫瘤を認め,嚢胞液細胞診を施行した.良性の嚢胞と診断されたが,無色透明であったため嚢胞液の生化学検査を施行したところwhole PTH は4 pg/mL 未満,サイログロブリンは5,432 ng/mL であったため,甲状腺由来の腫瘤と診断した.術後病理結果は腺腫様甲状腺腫の診断であった.腺腫様甲状腺腫を中心とした甲状腺内の嚢胞液は淡黄色や褐色調であることが一般的で,嚢胞液が無色透明の場合は副甲状腺嚢胞を最も考える.甲状腺由来の嚢胞で貯留液が無色透明であった大変珍しい症例を経験した.
- 著者名
- 三上 剛司, 他
- 巻
- 50
- 号
- 頁
- 1-4
- DOI
- 10.11482/KMJ-J202450001
- 掲載日
- 2024.5.30