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Online edition:ISSN 2758-089X

顎下腺原発扁平上皮癌の1例

唾液腺癌は頭頸部癌の約1%とされ,なかでも顎下腺を原発とする扁平上皮癌は非常に稀である.今回われわれは,顎下腺原発扁平上皮癌の1例を経験したので,その概要を報告する.症例は68歳,男性.右下臼歯部の違和感と右顎下部の腫脹を主訴に3か月間複数の歯科医院を受診し,歯科治療や抗菌薬の投与を受けたが症状は改善せず,精査目的で当科紹介となった.当科初診時,右顎下部に硬結を伴う腫瘤を認め,造影CT にて顎下腺腫瘍の診断を得た.口腔内に異常所見は認めなかった.耳鼻咽喉・頭頸部外科に院内紹介し,穿刺吸引細胞診にてclass Ⅴ,組織型として扁平上皮癌が示唆された.右顎下腺癌の診断の得,外科的治療,化学放射線治療による集学的治療を行ったが,初診から約1年3か月後に原病死となった.顎下腺原発扁平上皮癌は非常に予後が不良であるが,顎下部の腫脹や硬結以外に特異的な症状がないため,歯科治療や消炎治療で症状が改善しない場合は顎下腺の悪性腫瘍も鑑別に考慮する必要がある.
著者名
中村 裕子, 他
50
85-90
DOI
10.11482/KMJ-J202450085
掲載日
2024.11.29

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