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Online edition:ISSN 2758-089X

Purpureocillium lilacinum による術後真菌性眼内炎の一例

白内障手術後に生じたPurpureocillium lilacinum による真菌性眼内炎の1例を報告する.症例は73歳の男性.近医にて左眼白内障手術を施行され,術後8日目より左眼痛を自覚した.近医にて,術後の感染性眼内炎と診断された.抗菌点眼薬での治療を開始されたが,眼内炎が増悪し,白内障手術の創部に角膜浸潤を認めたため,当院に紹介受診となった.同日に,左眼の前房洗浄を行った.前房内から採取した検体の培養検査にてPurpureocillium lilacinum が検出された.真菌性眼内炎と診断して,抗真菌薬であるボリコナゾールの点眼および点滴の治療を開始したが改善を認めなかった.ポサコナゾールの内服に切り替えて眼所見の改善を認めたため,内服を中止したところ,2ヶ月後に感染の再発を認めた.ポサコナゾール内服を再開したが効果不十分であったため,ボリコナゾールの角膜実質内注射を施行し,改善を得られた.
著者名
辻 展充, 他
51
7-12
DOI
10.11482/KMJ-J202551007
掲載日
2025.3.5

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