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Online edition:ISSN 2758-089X

術中CT 撮影の利用を必要とした迷入魚骨異物の2例

咽頭および食道での魚骨異物は日々の診療において多く経験する疾患であり,その大半は外来診療において摘出が可能である.しかしながら,粘膜下に迷入した魚骨異物は摘出に難渋する場合がある.今回我々は摘出のために,術中にCT 検査を実施し,位置を確認する必要があった魚骨異物の2例を経験した.症例1は69歳男性で,フグの類縁魚を食べた後から咽頭痛を認め,発症3日後に紹介受診した.CT および内視鏡検査の結果から,下咽頭粘膜下に迷入した魚骨異物と診断した.摘出に難渋したため,術中にCT を撮影して魚骨の位置を確認し,頸部外切開で摘出した.症例2は65歳男性で,オコゼの唐揚げを食べた後から咽頭痛を認め,他院にて精査・加療を行ったが改善なく,発症3週間後に紹介受診した.CT および内視鏡検査の結果から舌根部左側に迷入した魚骨異物と診断した.術中にCT にて位置確認を行い異物摘出術を施行した.迷入魚骨異物の術中の位置確認の方法として,術中CT 検査の使用は今回の2症例において,妥当であったと考えられた.さらに2症例の経過を振り返り,魚骨異物への適切な対応について考察を加えた.
著者名
若林 時生, 他
51
49-55
DOI
10.11482/KMJ-J202551049
掲載日
2025.12.9

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