h_kaishi
Online edition:ISSN 2758-089X

topimage01

2024.06.17

The antimicrobial susceptibility of Streptococcus pneumoniae and Haemophilus influenzae isolated from the sputum of pediatric inpatients with lower respiratory infections during-COVID-19 pandemic based on descriptive observational studies.

背景:COVID-19の流行下でのStreptococcus pneumoniae(SP)とHaemophilus influenzae(HI)の薬剤感受性薬剤感受性のデータが日本国内においてほとんどない. 方法:2020年1月~2022年3月(コロナ流行下)の当院小児科における下気道感染症入院例の喀痰から分離されたSP とHI の薬剤感受性について検討した. 結果:コロナ禍で計188の株を調査し,SPではペニシリン耐性菌の割合は約半数で,HIではβラクタマーゼ非産生アンピリシン耐性(BLNAR: β -lactamase negative ampicillin resistance)の割合が約6割であった.抗菌薬使用例は,SP 検出例に比べHI 検出例で有意に多く,HI 検出例ではペニシリン系抗菌薬使用例でBLNAR の検出が有意に高くなっていた. 結論:コロナ流行下においても,SPとHIにおいて一定の割合でペニシリン耐性菌が検出されており,抗菌薬適正使用のためには継続的な疫学調査が必要である.また,HI においては,ペニシリン系薬の使用が薬剤感受性に影響を与えた可能性が示唆された.

2024.05.31

Characteristics of Patients With Subjective Cognitive Decline Who Visited Our Memory Clinic

目的:当院もの忘れ外来を受診した(主観的認知機能低下;SCD)患者の臨床的特徴, 神経心理検査, 画像検査結果との関連を考察する. 方法:2018年1月~2022年9月に当院もの忘れ外来を受診した患者のうちHDS-R > 20/30かつDASC-21 < 30/84の患者106人(男性34人, 平均年齢72.8 ± 9.3歳)の診療録の情報(患者背景, 神経心理検査, 画像所見)を後方視的に検討し,患者本人のみが認知機能低下を自覚している群(A群:26人)と家族も認知機能低下を感じている群(B群:80人)に分け,2群間の違いを検討した(カイ二乗検定,対応のないT検定). 結果:記憶障害を主訴とした患者が83%であった.併存疾患はHT 53.8%,DL 50.9%,DM 28.3%,精神疾患 17.9%といずれも一般的な有病率より高かった.神経心理検査ではHDS-R 25.8±3.0,MMSE-J 26.0±2.8,DASC-21 25.4 ± 2.4であったが,頭部MRI では約半数に脳血管障害や脳萎縮を認め脳血流SPECT では後部帯状回の集積低下は19.1%に認めた.再診した患者38人のうち28.9%が認知症に進展した.両群間差の検討では患者背景,画像検査では両群に有意差を認めなかったが,B群では家族は記憶障害以外に意欲低下や易怒性に気づいており,全般的認知機能, 生活障害,介護負担,精神症状の評価で有意差を認めた. 結論:既報どおりSCD患者は一定数認知症へ進展した.本人のみならず家族も何らかの認知機能低下を少しでも感じている場合はより認知機能が低下している傾向にあるため,認知症への移行リスクが高いと考えられた.これらの患者群は疾患修飾薬のターゲットになりうることが推測できるため積極的にバイオマーカー検査などを行うべきである.

2024.05.30

Immunonutritional index in patients with end-stage cancer in palliative care ward

背景:癌患者における炎症や免疫,悪液質状態を反映する免疫栄養指数として,Glasgow prognostic score(GPS),neutrophil-lymphocyte ratio(NLR),platelet-lymphocyte ratio(PLR),lymphocyte-monocyte ratio(LMR)などが報告されているが,緩和ケア病棟における終末期癌患者に対して評価した報告は少ない.今回,緩和ケア病棟における癌終末期患者において免疫栄養指数の意義を明らかにするため検討を行った. 方法:対象は2020年11月から2021年6月までに当院緩和ケア病棟に入院し死亡退院した癌患者,187例である.NLR,PLR,LMR については,入院後30日以内の死亡例を陽性としたそれぞれのROC 曲線からカットオフ値を求め,群別した. 結果:悪液質であるGPS2の患者は152名(81.7%)であった.生存期間中央値(Median Survival Time: MST)はGPS0,1群は17.0日,GPS2群は11.9日で,GPS2群は有意に生存期間が短かった(p = 0.0094).NLR 低値群で19.0日,NLR 高値群で10.0日で,NLR 高値群が有意に予後不良であった(p < 0.0001).LMR 高値群で15.0日,LMR 低値群で12.0日とLMR 低値群が有意に予後不良であった(p = 0.0006).予後に有意差を認めたGPS,NLR,LMR で多変量解析したところNLR のみが独立した予後因子であった(p = 0.0226, hazard ratio 1.5048,95%(1.06, 2.13)). 考察:8割以上の例でGPS2であり,緩和ケア病棟での癌終末期患者の悪液質状態を反映しているものと考える.NLR は,癌終末期患者の短期予後を予測する因子として一定の意義を認めた.

2024.05.30

A case of huge thyroid cyst with colorless and transparent fluid

甲状腺嚢胞は臨床上よく遭遇し,その嚢胞液は褐色であることが通常であるが,今回無色透明の嚢胞液を貯留していた腺腫様甲状腺腫の1例を経験したので報告する.90歳の女性.他院入院時のCT 検査で巨大な甲状腺腫瘤を認めたため当科紹介となった.頸部超音波検査で右葉に巨大な嚢胞性腫瘤を認め,嚢胞液細胞診を施行した.良性の嚢胞と診断されたが,無色透明であったため嚢胞液の生化学検査を施行したところwhole PTH は4 pg/mL 未満,サイログロブリンは5,432 ng/mL であったため,甲状腺由来の腫瘤と診断した.術後病理結果は腺腫様甲状腺腫の診断であった.腺腫様甲状腺腫を中心とした甲状腺内の嚢胞液は淡黄色や褐色調であることが一般的で,嚢胞液が無色透明の場合は副甲状腺嚢胞を最も考える.甲状腺由来の嚢胞で貯留液が無色透明であった大変珍しい症例を経験した.

2024.01.22

Parathyroid adenoma diagnosed following a more than 10-year disease-free interval after initial treatment

原発性副甲状腺機能亢進症(PHPT)は,腺腫,過形成,癌によって引き起こされる.多くは腺腫が原因となり,通常は単発であるが,稀に多腺腺腫を伴うことがある.今回我々は,初回治療から10年以上の無病期間を経て発症した副甲状腺腺腫の1例を経験した. 症例:45歳,女性.家族歴に特記事項なし.X-12年,原発性副甲状腺機能亢進症 (PHPT) に対し,左上下副甲状腺摘出術施行.左下副甲状腺腺腫の診断であった.以降は他院にて,血液検査で経過観察を行っていた.X年から高Ca 血症の再燃を認め,同年,右上下副甲状腺摘出術+副甲状腺自家移植を施行した.病理組織学検査,臨床経過から右下副甲状腺腺腫の再燃と診断した.既往歴に直腸神経内分泌腫瘍があることなどから,MEN 1遺伝子検査を行ったが,変異は認めなかった.副甲状腺腺腫はPHPT の原因で最も一般的であるが,ほとんどが単発で発生し,多腺腺腫は稀である.また,本症例は初回治療から10年以上経過し出現しており,極めて稀な症例と考える.

2023.12.21

Preoperative suspicion of parathyroid carcinoma based on clinical findings in a patient with primary hyperparathyroidism

副甲状腺癌は臨床頻度が少なく穿刺吸引細胞診も禁忌とされている事から術前診断に苦慮する場合がある.今回,臨床所見から術前診断時に副甲状腺癌による原発性副甲状腺機能亢進症(PHPT)を疑って手術を行った症例を経験したので報告する.症例は73歳女性.発熱と熱中症のような全身倦怠感にて前医受診.採血検査にてCa 14.0 mg/dL. intact PTH 748.と上昇あり当院糖尿病内分泌内科紹介受診.当院受診時採血検査では,intact PTH 896 pg/mL, Alb 3.8 g/dL, IP 2.1 mg/dL, Ca 14.1 mg/dL. PHPT の診断にて当科紹介受診.頸部超音波検査(US)で左下副甲状腺は辺縁不整,内部粗造,一部に嚢胞様構造を伴い,内部血流の増多を認めるとともに,17.6×27.7×32.4 ㎜と著明に腫大していた. その他の副甲状腺には腫大を認めなかった.99mTc-MIBI シンチグラフィでは,上縦隔に認める腫瘤に一致し強い集積亢進があり,頸部造影CT では縦隔上部に内部LDA を伴う腫瘤性病変を認め,周囲組織や血管と接しているが,明らかな浸潤は指摘できなかった.血清Ca 値の異常高値と辺縁不整で一部被膜外へ突出するUS 所見から,副甲状腺癌を疑い手術を勧め左下副甲状腺摘出術を行った.術後病理組織検査で,腫瘍成分が線維性被膜内に浸潤する像や,被膜外に浸潤傾向を示す部位があり,部位によっては明らかに結節外に進展していると認識できる成分もみられ被膜浸潤と認識できる病変があり,副甲状腺癌の診断であった.原発性副甲状腺機能亢進症における副甲状腺癌の発生頻度は低いが,根治を図る上でも初回手術時に周囲組織を含めたen bloc 切除を行う必要があり,術前診断の時点で副甲状腺癌の診断基準を考慮し的確に診断する事が重要であると考える.

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