2025.12.09
Two Cases of Intraoperative-Assisted Computed Tomography for Removing Foreign Body
咽頭および食道での魚骨異物は日々の診療において多く経験する疾患であり,その大半は外来診療において摘出が可能である.しかしながら,粘膜下に迷入した魚骨異物は摘出に難渋する場合がある.今回我々は摘出のために,術中にCT 検査を実施し,位置を確認する必要があった魚骨異物の2例を経験した.症例1は69歳男性で,フグの類縁魚を食べた後から咽頭痛を認め,発症3日後に紹介受診した.CT および内視鏡検査の結果から,下咽頭粘膜下に迷入した魚骨異物と診断した.摘出に難渋したため,術中にCT を撮影して魚骨の位置を確認し,頸部外切開で摘出した.症例2は65歳男性で,オコゼの唐揚げを食べた後から咽頭痛を認め,他院にて精査・加療を行ったが改善なく,発症3週間後に紹介受診した.CT および内視鏡検査の結果から舌根部左側に迷入した魚骨異物と診断した.術中にCT にて位置確認を行い異物摘出術を施行した.迷入魚骨異物の術中の位置確認の方法として,術中CT 検査の使用は今回の2症例において,妥当であったと考えられた.さらに2症例の経過を振り返り,魚骨異物への適切な対応について考察を加えた.
2025.12.09
Relationship between nasal symptoms and sleep quality in sleep apnea.
背景:閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)とアレルギー性鼻炎や慢性副鼻腔炎などの鼻疾患は,日常的な臨床現場で頻繁に観察される.鼻疾患は睡眠障害を引き起こすと考えられているが,鼻症状の重症度とOSA 患者の睡眠QOL の関連の詳細は不明である.そのため当院で実施した終夜睡眠ポリグラフィー(PSG) 検査を実施したOSA 患者を対象に鼻症状と睡眠QOL の関連を検討した. 方法:2017年4月1日~2022年3月31日までに当院で PSG を施行し,OSA と診断され,BMI30未満であった437例を対象とした.鼻症状とPSG 各種パラメーターおよび各種睡眠問診票[Japanese Epworth Sleepiness Score (JESS), Athens Insomnia Scale (AIS), Pittsburgh Sleep Quality Index (PSQI)]の結果を元に検討を行った. 結果:鼻アレルギー診療ガイドラインによる鼻症状重症度で分類したところ,無症状144例,軽症194例,中等症63例,重症23例,最重症13例であった.PSG 各種パラメーターは鼻症状重症度による差を認めなかった.しかし,鼻症状が悪化するにともない,3種類すべての各種睡眠問診票の結果は有意に悪化し,PSQI カテゴリーでも睡眠困難や日中の覚醒困難が有意に悪化した. 結論:今回,BMI30未満の OSA 患者を対象にして検討し,鼻症状の悪化が睡眠 QOL の悪化につながることを示した.鼻症状を管理することはOSA 患者の睡眠の質の改善のために重要であることが分かった.
2025.11.19
Sex Differences in Obstructive Sleep Apnea
背景:閉塞性睡眠時無呼吸症(OSA)は睡眠中に上気道が閉塞することにより無呼吸,いびきや日中の眠気を認める疾患である.臨床的には男性に多いと考えられているが,一般住民を対象とした研究では男女差は無いとする報告も認められ,女性のOSA が過小診断されている可能性も指摘されている.今回,女性OSA の臨床的特徴を把握するために,男性との比較検討を行った. 方法:川崎医科大学附属病院耳鼻咽喉・頭頸部外科を受診し OSA が疑われ睡眠ポリグラフィー(PSG)を施行しApnea-Hypopnea Index(AHI)が5以上でOSA と診断された18歳以上の症例747例(男性527例,女性220例)を対象とした.PSG の結果に加えて,各種睡眠問診票[Japanese Epworth Sleepiness Score (JESS), Athens Insomnia Scale (AIS), Pittsburgh Sleep Quality Index (PSQI)]の結果を男女間で比較検討した. 結果:女性よりも男性の方がPSG各種パラメーターは悪かったが,PSQIは女性の方が高かった.50歳以下および51歳以上にわけてOSA の男女間の比較検討を行ったところ,50歳以下では女性の方がBMI は高く,ESS 高値,PSQI のカテゴリーでは入眠障害および眠剤使用が有意に高かった. 結論:女性 OSA の臨床的特徴として,50歳以下の女性は,OSA の4つの要因のうち,主に肥満による上気道の解剖学的狭窄と入眠障害などから推測される低い覚醒閾値が影響している可能性が示唆された.




