h_kaishi
Online edition:ISSN 2758-089X

topimage01

2022.12.19

Temporal dispersion in vasculitic neuropathy: its microscopic ultrastructural findings

症例は35歳男性.32歳のときに右腓腹神経・足底神経支配領域の異常感覚で発症し,その後,左腓腹神経・足底神経領域,両側尺骨神経領域に感覚障害が拡大した.神経伝導検査では,左脛骨神経複合筋活電位において,時間的分散の所見が認められた.腓腹神経生検では,神経上膜にフィブリノイド壊死を伴う壊死性血管炎を認めた.エポン包埋トルイジン青染色では、有髄神経線維の脱落が著明であり,髄鞘の薄い再生軸索が認められた.電子顕微鏡による観察では,脱髄は認められず,軸索の再生が認められたが,髄鞘再生に乏しいthin myelin が特徴的であった.神経伝導検査で,伝導ブロックや時間的分散といった脱髄を疑う所見を呈する血管炎性ニューロパチーについて24例の報告があるが,これまで電子顕微鏡による観察はされていない.血管炎性ニューロパチーによって惹起される時間的分散の出現機序について,微細構造所見を基に考察する.

2022.12.07

A case of isolated thyroid metastasis that was diagnosed 24 years after renal cancer surgery

転移性甲状腺癌において原発部位は腎癌が最も多いとされているが,今回腎癌術後24年と長期間経過後に孤立性甲状腺転移の症例を経験したので報告する.症例は68歳,女性.既往歴に右乳癌,両側肺癌,左腎癌あり.右乳癌温存術後の放射線治療目的に前医より当院放射線治療部に紹介.位置決めCT で甲状腺右葉腫瘤を指摘され当科紹介.頸部超音波で甲状腺右葉に約3㎝大の被膜を有する低エコー腫瘤を認めた.穿刺吸引細胞診で良性との結果で経過観察としていた.その後,腫瘤の増大を認めたため,手術を勧め,甲状腺右葉切除術を行った.術後病理検査で腎癌(淡明細胞癌)の転移との診断であった.その後当院泌尿器科に紹介し,全身精査するも明らかな遠隔転移なく経過観察となっている.腎癌術後に甲状腺腫瘤を認める場合は転移の可能性を考慮する必要性があると考える.

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