h_kaishi
Online edition:ISSN 2758-089X

topimage01

2021.06.11

Case study of Guillain-Barré syndrome after cibuatera intoxication

症例は20歳代女性.昼にイトヨリダイを食べ,夕方から気分不良,嘔吐が生じた.2日後起床時から冷たいものを触ると異常に冷たく感じる様になった.嘔吐が続くため当院を受診し,ドライアイスセンセーションと考えられ,食事内容からシガテラ中毒が疑われた.第6病日に入院したが,翌日から筋力低下,腱反射減弱を生じ,翌日には近位筋優位の筋力低下を認めたため,神経伝導検査を施行し,ギラン・バレー症候群(GBS)を発症したと考え,同日から免疫グロブリン大量療法を開始した.その後,顔面麻痺や嚥下障害,呼吸障害などが生じたが,第14病日(GBS の第8病日)が最も症状が悪かった日で,その後徐々に回復し,第42病日にリハビリテーション病棟に転棟し,第75病日に退院した.シガテラ中毒は,熱帯・亜熱帯地域で多く発症し,日本では沖縄からの報告が多いが,本州での報告もあり,温暖化に伴い今後本州において増えてくる可能性があると思われる.ドライアイスセンセーションの症状を呈する患者を診た場合,シガテラ中毒を疑うことが重要である.また,稀ではあるが,ギラン・バレー症候群を併発する症例もあるので,筋力や腱反射をフォローし,異常が生じた場合には,GBS を疑い早期診断・早期治療をすることが予後を左右すると思われる.

2021.06.03

A case of early gastric cancer with difficulty in achieving hemostasis after endoscopic submucosal dissection

症例は80歳代,男性.貧血の精査目的で当科受診し,上部消化管内視鏡検査で前庭部小弯に早期胃癌を認めた.内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)を施行し,治癒切除であった.その後,ESD 後潰瘍からの出血を繰り返し,内視鏡的止血術を計9回,経カテーテル的動脈塞栓術を計3回行った.潰瘍からの再出血予防のためポリグリコール酸シート(以下PGA シート)とフィブリン糊を貼付した.その後は出血なく潰瘍の上皮化を確認した.PGA シートとフィブリン糊を用いた内視鏡的粘膜欠損被覆法は,ESD の後出血予防における有用性に関していくつかの報告がされており,出血リスクが高いと思われる症例に関してはPGA シートによる被覆法を検討する必要がある.

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