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Online edition:ISSN 2758-089X

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1987.01.01

Experimental Studies and the Drug Effect on Estrogen Induced Rat Prolactinoma *

Wister系ラットにestrogenを大量連続投与することによりprolactinomaを誘発し,下垂体重量,血中PRL値,光顕(H-E染色),光顕酵素抗体法および電顕を用いて観察した.さらに同モデルを用いてbromocriptine, tamoxifen, aclacinomycin Aの効果について検討し以下の結論を得た.(1)estrogenの大量投与によりラットにprolactinomaが誘発された.しかし,estrogenを中止すると退縮する傾向であった.(2)bromocriptine投与群では,下垂体重量,血中PRL値は著明に減少し,組織所見では電顕で分泌顆粒が著明に増加していた. bromocriptineの作用機序としてはPRL放出障害が推測された.(3)tamoxifen投与群でもbromocriptine投与群ほどではないが下垂体重量,血中PRL値は減少した.しかし,組織所見では明らかな変化は認められなかった. tamoxifenの作用機序は抗estrogen作用によるホルモン合成障害と考えられた.(4)aclacinomycin A 投与群では,血中PRL値のみ低下し,組織所見では出血,細胞壊死がわずかに認められたが,電顕所見では検索した限りでは変化は見られなかった.aclacinomycin A の作用機序はPRL合成における核酸合成障害が関与しているものと考えられた.

1986.04.12

Clinical Features of Pneumonic Patients Admitted to Our Division Last Year

肺炎は死亡順位の第4位を占めており,現在でも重要な感染症の1つである.当科において最近1年間に経験した肺炎患者81名を細菌性肺炎,原発性異型肺炎に分類し,その臨床像について検討した.細菌性肺炎は57例で高齢者に多く,基礎疾患を有する患者が42例(70%)を占めた.青壮年者では大多数の例で基礎疾患を有し,基礎疾患を認めなかったものは2例のみであった.好発季節は冬から春にかけて多い傾向があった.原因菌としては,グラム陰性桿菌が多く,基礎疾患を有する肺炎が多い事が関係していると考えられた.原発性異型肺炎は24例で細菌性肺炎とは対照的に青壮年者に多く,全例基礎疾患は認めなかった.患者数は1984年のマイコプラズマ肺炎流行年の約半数であった.好発季節は夏と冬の2峰性の増加があるようにみえた.マイコプラズマ肺炎はその中で33%あったが,抗体価の経過を追えなかった例があり,実際はもう少し多かったものと推測された.

1986.04.11

Scimitar Syndrome―A Case with Long History of “Dextrocardia”―

長年「右胸心」として観察されていたScimitar症候群の1例.患者は47歳の男性で「右胸心」の精査のため紹介来院した.胸部単純X線写真でScimitar sign に加えて,右肺形成不全および心臓の右方偏位を認め,胸部CTスキャン,右室造影にて右肺静脈の下大静脈への還流異常が確認された.

1986.04.10

A Case of Anorexia Nervosa with Hypoglycemic Shock

我々は,著明な低血糖を生じ,昏睡状態にまで陥り回復した成人女性の症例を報告した.Anorexia nervosaの経過中に低血糖ショックに陥った症例の報告は,現在まで我が国では小児に2例あるのみであり,文献の症例を含めて,本症例の低血糖ショックの原因を考察した.

1986.04.09

A Statistical Observation of Tracheo-bronchial and Esophageal Foreign Bodies in Our Clinic during- the Last 12 Years

当教室開設1973年より1985年までの気道異物症例と食道異物症例の54例につき統計的観察を行った.1)食道異物症例は34例,気道異物症例は20例であった.2)食道異物症例中貨幣によるものが21例で61%を占め,幼児に多く,食物によるものは高齢者に多く認められた.3)気道異物症例では豆類が9例で45%を占め,すべてが幼児に認められた.

1986.04.08

Embryonal Rhabdomyosarcoma from the Ethmoid Sinus of an Adult Associated with a Wide-spread Intracranial and Intraspinal Continuous Invasion ―Report of an Autopsy Case and Review of the Literatures on the Intracranial Invasion from Rhabdomyosarcoma of the Head and Neck―

前頭葉内に巨大な腫瘤を形成,さらに広範な頭蓋内・脊髄腔内侵襲を来した,成人篩骨洞原発の胎児性横紋筋肉腫の1剖検例を報告した.文献的考察の結果,本例のような横紋筋肉腫の場合,頭蓋内侵襲の危険性が高く,全脳脊髄照射ないしは化学療法剤の髄腔内投与を適宜,予防あるいは治療として行う必要があると思われた.

1986.04.07

An Influences of the Femoral Neck Fracture to the Restorative Treatment in the Geriatric Hospital ― Evaluation with Hasegawa Scale, PULSES and ADL Score

著者の所属する老人病院では脳卒中や脳動脈硬化症の患者について維持的リハビリテーション治療を行っている.その中には大腿骨頸部骨折を合併した患者がいる.そこで大腿骨頸部骨折が維持的訓練に及ぼす影響を知るため以下の調査をした.症例数は36名で,2グループに分けた.ひとつは11名,訓練継続群で,他は25名,訓練中断群である.方法は長谷川スケール, MoskowitzのPULSES’の得点,日常生活動作(ADL)5項目の得点との比較検討を統計学的に行った.解析方法として,これらの相互関係を2×2分割表で表示し,Fisherの直接確率法による検定を用いた.結果については次の通りである.(1)リハ訓練と長谷川スケールの間に有意性を認めた.(2)リハ訓練とADL 5項目総合得点の間に有意性を認めた.(3)PULSES’と長谷川スケールでは,中絶群でS’の間に関連が認められた.(4)PULSES’とADL 5項目については継続群でS, E,と用便動作に関連を認めた.(5)PULSES’とADL 5項目について中絶群ではP, L, E,と用便動作,歩行,Uと食事および入浴,S’と食事の間に関連を認めた.

1986.04.06

Our Operative Procedure for Cryptotia

埋没耳は耳介の上半分が側頭部に埋入する特徴を有する先天的奇形である.これに対する外科的療法については, 1930年久保が初めてV-Y plasty による術式を発表し,以来多くの方法が報告されてきた.また,埋没耳には多くのタイプが見られ,いまだ定まった分類はない.ここでは,埋没耳の分類に関し私たちの考えを述べ,さらに私たちの新しい手術術式について述べた.

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