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Online edition:ISSN 2758-089X

topimage01

1985.04.06

A Biomechanical Study of the Patello-femoral Joint in the Amputated Knee

膝蓋大腿関節の接触面積や接触圧が,膝屈曲に従ってどのように変化するかを切断肢を用いて測定した. その際正常の関節面を持つものと変性を起こしたものとを比較し,関節面の変性が接触面積や接触圧に及ぼす影響を明らかにした.さらに膝蓋大腿関節の疾患に対して行われる脛骨粗面浮上術の効果についても論じた.1)膝蓋大腿関節の接触面積は,正常例では膝屈曲が増すにつれ増加する.変性例では屈曲60°までは増加するが,それ以上になるとあまり増加しない.2)膝蓋大腿関節の接触圧は,関節軟骨が正常でも変性していても,膝屈曲60゜以上での接触圧の増加が大きい.3)膝蓋骨の外側関節面には,内側関節面の1.5倍の接触圧がかかる.これは外側関節面に障害が多い原因の一つと考えられる.4)脛骨粗面浮上術は日常の歩行や階段昇降といった膝屈曲60゜までの活動での除痛を最大の目的として低浮上でおこなうべきである.

1985.04.05

Clinical Study of Eating Disorders:Application of DSM-III and its Problems

著者らはeating disorder の患者にDSM-IIIを適応して以下の三群に分けた-I群:Anorexia Nervosa (29%).II群:Anorexia Nervosa and Bulimia (52%). III群:Bulimia (19%).そしてそれぞれの臨床的側面を比較検討した.結果:①発症年齢,初診までの期間に差はなかった.②病前の肥満度はI群よりも有意にII群, III群が大きかった.③病前の肥満感はすべてに認められた.④体重減少率はI群よりもII群の方が大きかった.⑤活動性の亢進はI群,II群に認められたがIII群では認められなかった.⑥食事への態度ではII群は拒食期にはI群に,過食期にはIII群に類似していた.⑦盗食,薬物乱用,自殺企図等の問題行動はII群,III群に認められた.以上の結果からDSM-IIIではAnorexia Nervosa に合併するBulimiaについての記載はないが,II群は必ずしもまれでないことを強調した.さらにbody imageの障害,活動性の亢進,II群, III群での問題行動等について若干の考察を行った.

1985.04.04

Differential Production of Proteolytic Enzymes by Normal Human Fibroblasts and Their Counterparts Transformed by Treatment with 6 “Co Gamma Rays

ヒト細胞の癌化に伴う蛋白分解酵素の産生の変化を調べた.使用した細胞は,ヒト正常線維芽細胞(KMS-6)とその細胞を60Coγ線で照射して培養内で癌化した細胞(KMST6)とてある.細胞はEDTAで継代し,無血清培地で培養した.それぞれの細胞系の産生する培地中および細胞内の蛋白分解酵素量を人工基質N-a-(tosyl)-L-arginine[3H]methyl esterHC1 (3H-TAME)を用いて測定した.蛋白分解酵素の産生は正常細胞(KMS-6)に比べ癌化した細胞(KMST-6)の方が高かった.また,両細胞系において酵素産生は対数増殖期に高く定常期に近づくに従って低下した.産生された蛋白分解酵素はトリプシン様,トロンビン様酵素であった.これらの蛋白分解酵素の阻害剤を加えてもKMS-6とKMST-6の細胞の増殖は阻害されなかった.

1985.04.03

Scanning- Electron Microscopic Study of Liver with Use of the Chemical Digestion Method ―Observation of the Surface of Normal Human Liver―

化学的消化法(HCl-collagenase 法)と被膜を用手剥離する方法,およびこの2方法の組合せである被膜剥離後化学的消化法を利用して,正常ヒト肝表面を走査電顕で観察し,次のような結論をえた.1.ヒト肝被膜は, HCl-collagenase法では中皮細胞と基底膜のみが消化された.固定後肝被膜を用手剥離すると,被膜の各層で剥離されるが,肝実質表面は露出できなかった.2.被膜剥離後化学的消化法では,肝被膜下層に存在する門脈枝,肝動脈枝および自律神経線維や,肝被膜と肝実質の境界部を観察することができた.本法により類洞が集合する小葉中心部では,一部の類洞が小孔を持たない血管として被膜下へ出現して,その直下に存在する中心静脈に流入することと,類洞が所々で小孔を有さない壁を直接被膜下に露出していることが明らかになった.

1985.04.02

A Scanning- Electron Microscope Study of Coronary Microvascular Architecture Using- Corrosion Casts

小犬心の血管鋳型を合成樹脂による鋳型法で作成し,その走査電子顕微鏡的観察を行い次のような新知見を得た. 1)両心室壁と心室中隔の毛細血管構築は差がなく,毛細血管は心筋線維と同方向に走行し,主にH型吻合をして心筋長軸方向に一致した長方形の毛細血管網を形成していた.心房壁の毛細血管構築は心室壁と異なり,毛細血管は多方向性に走行し,蛇行,屈曲し,Y型吻合が多かった.毛細血管同士の間隔は心室壁の毛細血管網よりも心房壁の方が広かった.心室壁と心房壁の毛細血管構築の差は心筋細胞の接合様式が両部位で異なるためと考えられた.心室壁と心室中隔では,細静脈の走行が毛細血管の方向に対し直角に走るものと,毛細血管の方向に平行のものとがあり,前者が多かった.毛細血管から直接小静脈に流入するものがあった. 2)心内交通枝は主として肉柱間の陥凹部にあり,右心室と右心房に多く,左心室と左心房には非常に少なかった.心内交通枝の三次元的形態観察が可能で,観察し得た種々の形態を記載した. 3)洞房結節の毛細血管構築は右心房一般心筋部のそれよりも疎であった.

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