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Online edition:ISSN 2758-089X

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1985.04.01

The Biochemistry of Affective Disorders ―A Suggestion from the Pharmacological Effect on Receptor Bindings of Pharmaceutical Drugs―

躁うつ病に関するアミン仮説と,躁うつ病治療薬の受容体への薬理作用を再検討した.その結果,躁うつ病はnoradrenaline受容体, dopamine受容体, serotonin受容体, adenosine受容体など多くの受容体の異常が関与したものであると推論した.

1985.03.08

Progressive Tuberculoma in Initial Intensive Chemotherapy for Tuberculous Pleuritis

SM, INH, RFPの強化化学療法開始後約1ヵ月の結核性胸膜炎の患者の右上葉に新たに円型陰影の出現が認められた.その後,陰影は3cm大に増大したので,肺癌等の鑑別のため経気管支的肺生検を施行した.その組織像は壊死を有する類上皮性肉芽腫で,抗酸菌染色も陽性であった.抗結核剤使用の続行により,結核腫確診後約3ヵ月で陰影は消失した. 結核の治療中に出現,増大した銭型陰影の鑑別診断に気管支鏡下肺生検が有用であった.また, RFPを含む強化化学療法中にも拘らず,病勢をおさえることができないための初期悪化症例のあることが推察された.

1985.03.07

Screening’ for Colorectal Cancer in Human Dock Clinics

最近,日本における大腸癌の死亡率は増加しており,大腸癌を早期発見するために,検診の必要性が提唱されている. 我々は,ヘモカルトスライドによる大腸癌検診を人間ドックで行った.1年間に539名が検査を受けた.潜血反応陽性者は53名(9.8%)であり,発見疾患は癌2例(早期癌1例),ポリープ6例,憩室2例,直腸炎1例であった.しかし,癌1例とポリープ2例はヘモカルトスライドは陰性であった.その癌は,直腸指診にて発見されており,この検査法の有効性が示された. S状結腸ファイバーを,人間ドックの集検に使用することは可能であり,今後,大腸癌の発見にはS状結腸ファイバーと便潜血反応検査を併用することが必要であろう.

1985.03.06

Anti-tumor Activity of Polysaccharides of Human-Type Mycobacterium Tuberculosis (SSM: Special Substance, Maruyama) : Pathological Studies on the Autopsy Cases Treated with SSM for a Long Period of Time

最初免疫療法として登場した人型結核菌体抽出多糖体(SSM:丸山ワクチン)は今日厚生省治験薬として20余万人の癌患者が登録使用しているが,今回の一連の研究で,その抗癌作用についてはリンパ球, macrophageを主体とする免疫機転のみからは納得すべき結果が得られなかった.著者は生体内癌細胞に関してはリンパ球, macrophageよりも癌間質細胞からのコラーゲン産生と増殖が抗癌作用には極めて重要な役割を果たすことを乳癌症例の知見に基づいて,ヌードマウス移植癌の一連の実験で報告してきた.この際,生体内では癌に対して非特異的に賦活化したリンパ球, macrophageは癌細胞の傷害性よりも,むしろ癌間質からのコラーゲン増殖の促進に役立ち,ひいては抗癌作用として極めて重要な意義を有することを報告した.今回はさらにSSM使用末期癌多数例の治験例の中から10例の剖検例を中心に検討した結果,臨床経過の遅延とともに全例にコラーゲン増殖の促進がみられ,癌封じ込めによる癌浸潤,転移阻止がSSM長期使用例に見られた.この際,本来のSSM-A, B処法は少なくとも1年以上の生存期間が必要で,癌発見早期より使用する必要があり,転移した癌巣の小さいものほど著効があった.また,癌はCT等によって大きくなりつつもSSM使用によって組織学的に内容は異なり,癌破壊壊死部の修復機転が進行し,瘢痕化へと著しい進展が認められた.このコラーゲン増殖は肺転移巣よりも肝転移巣に著明であり,結核乾酪巣の瘢痕化と癌壊死部の瘢痕化とは極めて病理組織学的に類似し,初期においては血管系由来の線維芽細胞,内皮細胞等がコラーゲン増殖の主役を演ずるが癌浸潤破壊による全身の間葉系細胞,筋線維,神経線維,軟骨組織,さらに癌細胞自身,コラーゲン産生源となった.

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