h_kaishi
Online edition:ISSN 2758-089X

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1985.03.05

A New Hemoglobin Variant with Neutral to Neutral Amino Acid Substitution, Hb Owari [a 121 (H4) Val-*Met], Found in Seven Japanese

 1.新しく,発見された異常血色素Hb Owari は等電点分画法でHbFとHbAの間に分画され,その含量は12.7-19.0 %を示した. 2.発見されたHb Owari の保因者は合計7名であり,末梢血液検査はすべて正常であった. 3. Hb Owari の不安定性試験は陰性であった. 4. Hb Owari の異常鎖はセルロースアセテート膜電気泳動で検出されないが,ヘモグロビン組成からα鎖にアミノ酸置換が起っていることが予想された(αx). 5.αx鎖のトリプシン消化物の可溶・不溶性成分ペプチドのアミノ酸組成が調べられた.不溶性成分のキモトリプシン消化物のフィンガープリントに異常ペプチドスポットが現われ,そのアミノ酸分析からa 121 Val→Metの置換が示された. 6. Hb Owari は酸素解離曲線の測定から正常な機能を有するものと考えられた.

1985.03.04

Collagen Synthesis and Production on Interaction between Human Cancer Cells and Fibroblasts in Vitro

担癌体における癌細胞と癌間質細胞によるcollagen増生が最近極めて注目されている.そこで癌細胞と宿主間質細胞の相互作用を明らかにする目的で,ヒト線維芽細胞とヒト株化癌細胞(肺腺癌由来HLC-1,胃未分化癌由来HGC-27,肺中等度分化型腺癌由来PC-3)を用い, in vitro での実験を行い検討した.両細胞を混合培養しcollagen増殖の形態学的観察および細胞増殖を検索した.他方,癌細胞培養後のconditioned mediumを用いて線維芽細胞を培養し,細胞増殖ならびにcollagen合成におよほす影響を検索した.また癌細胞自身のcollagen合成能をも測定した. 両細胞を混合培養した結果, collagenの増生を観察し,単独培養と比較して両細胞とも増殖が促進された.癌細胞培養後のconditioned medium を用いた実験では,線維芽細胞の増殖に対してほとんど影響をおよぼさなかったが, HGC-27とPC-3のconditionedmediumはcollagen合成を促進した.更に癌細胞自身のcollagen合成能を測定した結果, HLC-1, PC-3, HGC-27のすべての癌細胞にcollagen合成能を認め,特にHLC-1の合成能は線維芽細胞の合成能に匹敵するほど高値であったが,合成された[3H]hydroxyprolineの大部分は細胞内に局在していた. したがって癌間質のcollagenは主として線維芽細胞および癌細胞の両者によって増生され,両細胞の相互作用によって増殖促進が起こると考えられる.しかしこれらの絶対量や両者の比率は癌細胞の種類により異なり,担癌体におけるcollagen増生の所見はそれぞれの癌細胞により異なるものと考えられる.

1985.03.03

Studies on Transplantabilities and Growth in Relation to Steroid Hormon Receptors of SC115 mouse Mammary Tumor under Immunosuppression

マウス乳癌SC115 を免疫抑制状態にある宿主マウスに移植し,移植率,腫瘍増殖速度および腫瘍細胞のステロイドホルモン レセプターについて検討した. 1.免疫抑制処置(コバルト照射群またはデキサメサゾン投与)により雌,去勢雄マウスにSC115 は100%移植可能であり,発育をしめした. 2.免疫抑制は発育したSC115 腫瘍のアンドロゲンレセプター(AR)には影響を与えなかった.またエストロゲン レセプター(ER)には一定の影響がみられなかった. 3. SC 115 腫瘍にグルココルチコイド レセプター(GR)がみられた.

1985.03.02

Histopathological Studies on Contact Dermatitis:II. Experimental Primary Irritant Contact Dermatitis

モルモットにおけるDNCB及びクロトン油に対する―次刺激性接触皮膚炎の病理組織学的変化を経時的に観察した. DNCB皮膚炎にみられた特徴的所見は表皮の真皮からの分離を伴う表皮細胞の変性壊死,再生表皮のリンパ球性基底部海綿状態と真皮上層の好塩基球浸潤であり,クロトン油皮膚炎のそれは毛のうの破壊を伴う表皮細胞の変性であった.

1985.03.01

Study of Ophthalmic Artery of Primates ・ II ―Three Dimensional Analysis of Arteriographs of Ophthalmic Artery of Prosimii―

原猿類3科4属の頭部の動脈造影を行い,立体的解析により眼窩に分布する動脈系を比較解剖学的観点より検討した.ヒト科と原猿類(ツパイ科,キツネザル科,ロリス科)では,眼球へ分布する動脈に比較解剖学的にも興味ある形態的相違が認められた. 1)網膜中心動脈はヒトでは眼動脈より分岐し眼球の約1.5cm 後方で視神経に侵入するのに対し,原猿類ではツパイ科を除き発達が悪く眼球後極直前で外側―後毛様体動脈より分枝し視神経内を殆ど走行しない.外側―後毛様体動脈は原猿類ではヒトと同様に良く発達しており眼球後極で短後毛様体動脈と長後毛様体動脈を分枝する. 2)内側―後毛様体動脈は原猿類ではツパイ科を除きヒトに比べ発達が悪く,眼球では短後毛様体動脈を分枝せず長後毛様体動脈のみを分枝する.ツパイ科では同動脈はよく発達している. 3)太い筋枝(眼筋動脈)は,ツパイ科,ロリス科では視神経の内側(眼筋動脈I)に観察されるのに対し,キツネザル科では視神経の内側・外側(眼筋動脈II)の両型が見られ,これらはヒトで認められる眼筋動脈I・眼筋動脈IIの両型に対応する.

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