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Online edition:ISSN 2758-089X

topimage01

1981.03.13

A Case Report of a Suicide by Ingestion of Hydrochloric Acid

塩酸服用により自殺し3~4日経過したと思われる39歳の女性の剖検例を報告した.内景所見では胃後膜面における大鶏卵大の穿孔ならびに出血性壊死が最も著明であり,強酸性の液が胃内に約40ml,腹腔内に約50ml存在していた.組織学的には脾臓がとくに強いうっ血を呈しており,さらに胃では強い崩壊様の損傷が認められた.すなわち円柱上皮,粘膜下組織,粘膜筋板の崩壊が観察されたが十二指腸および腎臓,肝臓の一部は,死後の長期経過時間にもかかわらずかなり正常な形態を保っていた.これは,幽門部の痙縮ならびに塩酸の胃穿孔から腹腔内への流出に基づく酸固定による結果であろうと考えられた.以上のごとく,著者らが最近経験した1例について剖検所見を中心に組織学的所見について検討を加えた.

1981.03.12

Retroperitoneal Malignant Lymphoma -A Case Report-

48歳男性の後腹膜悪性リンパ腫の1例を報告した.本症例の診断には血管造影検査が有用であり,腫瘍組織からの処置困難な出血に対し血管塞栓療法が有効であった.この検査と処置を中心に考察を加えた.

1981.03.11

A Case of Gastric Tuberculosis Presenting as Diffuse Carcinoma of Borrmann Type 4

糖尿病コントロール目的で入院した78歳の女性が心窩部痛,食欲不振を訴えたため,胃X線検査を行なったところ,胃体部を侵すBorrmann4型のび漫癌が強く疑われた.内視鏡的には,白苔を伴う,辺縁はきわめて不整であるが境界明瞭な潰瘍性病変が,胃体中部より胃角部の前後壁にかけて多発しており,周囲粘膜の変化からむしろ良性胃潰瘍が示唆された.切除胃標本では,胃体中部より胃角部の前後壁にかけて,最大径4.5cm大までの辺縁不整な地図状で,境界明瞭な多発性潰瘍を認めた.組線学的には,主に粘膜下層を,また一部では非潰瘍部の粘膜深層を侵し, Langhans型巨細胞と中心壊死を伴う多数の類上皮細胞性肉芽腫結節を認め,切除リンパ節にも同様の結節所見を認めた.しかし,これら病巣内に直接抗酸菌が証明されなかった.結核の既往もなく,また肺その他胃以外の臓器に結核の原発巣が見出されなかったが,肉眼的,組織学的病理所見より胃結核と診断された.文献的考察により,本邦の胃結核例には,本症例のごとく結核の既往もなく又胃病変以外の原発巣が不明なものが最も多いことが判明した.

1981.03.10

Tracheostomy

最近の3年間に当科で施行した気管切開症例27例について,その適応,時期,手術の難 易,合併症などを再考し,気管切開術における注意点などについて考察を加え,以下のよ うな結果を得た. 1)すべての症例が緊急気管切開であった.  2)喉頭癌9例,下咽頭癌5例などに施行した.  3)手術の難易は伸展位がとれないとか,気管の牽引,頚部転移に左右された.  4)合併症として皮下気腫2例と気管切開口長期開存1例を認めた.

1981.03.09

A Case of Kimura’s Disease

木村氏病は主として若年男子に認められる原因不明の慢性肉芽腫性疾患である.好酸球増多,血清IgE上昇,カンジダ即時皮内反応陽性などを伴うため現在アレルギーの関与が重視されている.今回我々もアレルギー関与の可能性を示唆する所見を伴う本症を経験したので報告する.

1981.03.08

A Case of Parkinson’s Disease with Acute Delusional Depressive Manifestation

70歳男子,妄想性うつ状態で発症し,内因性うつ病と診断されたが, 4カ月後にParkinson症状を発症したParkinson病を報告した.初期には三環抗うつ剤, L-Dopaの治療により軽快したが,両病態の再燃後は各種薬剤に反応せず, 2年後には仮面様顔貌,流涎,全身筋強直,振戦などを示し,進行したParkinson病の状態となり,嚥下性肺炎にて死亡した. Parkinson症状に抑うつ状態が先行し,内因性うつ病と診断された点で興味ある症例であったので報告する.また,内因性うつ病とParkinson病の近縁性について,主として病態生化学的観点から考察した.

1981.03.07

The Situation of Teaching and Learning in Pharmacology under an Integrated Curriculum and How to Cope with It

系統別講義に薬理学が組入れられた場合,薬理学としてのまとまった講義時間が少なくなるので,その中で教育効果をあげる実習と講義の実施方法を試みた.まず実習の目標と具体的な問題点を明示しておいて実習を行ない,その次に討論(学生からの質問,学生への質問と説明,その際の成績の評価を含む)をし,その後で短時間ではあるが講義を行なえば,実習したことが完全に身につく教育が行なえることがわかった.この方法の完全な実施のために影響のある諸因子についても論じた.また薬理学が系統別講義に入った際の長短について論考した.

1981.03.06

Studies of Breath Holding Time on Measurement of Pulmonary Diffusing Capacity

肺拡散能力の測定は,一般に呼吸停止時間10秒のCO 1回呼吸法で行なわれる.しかし,呼吸器疾患患者の中には, 10秒間の呼吸停止ができない者もおり,そのような場合には呼吸停止時間を短縮させて検査を行なっている.呼吸停止時間を短縮させた場合,正確な値が得られるか否かを検討するた桝こ,呼吸停止時間が5秒と10秒のDLcoを測定した.同時に不均等分布の指標である△N2との関係も検討した.△N2はFRC及びTGVの絶対値そのものよりもTGVとFRCの差にもっとも相関した,また, △N2はDLcoと逆相関を示し,不均等分布が高度になるとDLcoも低値を示した.DI」co測定時の呼吸停止時間を短縮させる(5秒)と,不均等分布の強い患者では呼吸停止時間10秒のDLco値よりも低値となる.

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