h_kaishi
Online edition:ISSN 2758-089X

topimage01

1981.03.05

Modified Technique in Blind Liver Biopsy Using Vim-Silverman Needle

Vim-Silverman針による盲目的肝生検法の変法を考案し,過去5年間に185例の肝生検を行なった.この変法の要点は,肝組織片採取後外套針を肝内に残すことにより出血の程度を確認し,出血のある場合にはマンドリンによる圧迫止血が可能である点である.さらに出血の程度と肝組織像,出血傾向および肝組織片の長さとの関連についても解析した.出血以外の各種合併症についても検討し,より安全な盲目的肝生検法についての注意点を述べた.

1981.03.04

Sampling Method for the Estimation of the Average Number of Nerve Fibers

組織標本写真の細胞や神経線維などを計数するとき,我々は次の間題に直面する. -信頼のおける個数の値を得るためには,どの位の倍率で何枚の写真を使用すればよいか?この問題を解決するためのひとつの試みとして,ラットの腓骨神経線維を具体的な対象としてとりあげ,神経線維数のデータを統計学的な見地から解析し,個数推定のための標本抽出法を提案した.データ解析の結果,標本写真の許容しうる最大の大きさはおよそ(30μmx40μm)で,写真は10枚必要であることが示唆された.この調査領域は全体のおよそ10%であった.この標本抽出法は神経線経の数量的な研究の基礎として有用であろう.

1981.03.03

Studies on the Determination of the Age of Bloodstains Part. 1. Estimation of the Age of Bloodstains Left Standing at Room Temperature

血痕の陳旧度の判定は法医学上最も重要な課題の一つである.この間題に関して種々の方法が試みられてきたが,満足すべき方法はいまだない.そこで著者はセルロース・アセテート膜電気泳動法を使用する新しい血痕の陳旧度の判定法を試み以下の結果を得た.1)全ての血痕につきAlb/Hb比を計測したがAlb/Hb比は経日的に血痕付着2カ月後まで減少した.2)血痕中のHbおよびAlb濃度は室温保存下で3カ月後まで減少しなかった.3)泳動後の染色液をPonceau-3RからnigrosinおよびCoomassie brilliant blue-R250に変えたがそのAlb/Hb比に変化は観察されなかった.4) Ponceau-3R染色の血清斑痕のNaOH抽出液の510nmに於ける吸光度は2カ月後まで減少した.すなわち血清斑痕に於けるPonceau-3Rの結合能は経目的に減少する.以上の結果よりこのPonceau-3R染色による電気泳動法は簡便であり実際の法医鑑識上,血痕の陳旧度の判定へ応用ができると考えられた.

1981.03.02

Measurements of Fallen Germs within Buildings of a Medical School

川崎医大内で40カ所を選び一年間にわたり5回(または3回),落下菌数の測定をおこなった. 5回の測定を通しすべての場所の平均落下菌数は32.4 (個/平板培地/時間)であり,最小値は0,最大値は296であった. 5回の測定を通して落下菌数の多かった場所は玄関,エレベーターホール,病院待合ホールなどであり,いずれも多数の人の動きがある場所であった.これに対して落下菌数の少なかった場所は実験室や病室などいずれも人の動きの少ない場所であった.同一場所における落下菌数は測定時期によって大きく変動した.第2回測定(10月)における27カ所の平均落下菌数は91.9と非常に多く,次いで第1回測定(8月)の27カ所の平均落下菌数が35.2,第5回測定(5月)の39カ所の平均落下菌数32.0と第2回(10月)測定の約1/3であった.平均落下菌数が非常に低かったのは第4回測定(2月)の39カ所平均15.9と第3回測定(12月)の39カ所平均14.1であり最も多かった第2回測定の約1/6であった.この結果は室内における落下菌数の変動の原因が人の動きの多少を別にすると,季節による外気の落下菌数の変動と各季節における外気の室内への導入の度合に依存することを示唆している.落下菌数と同時に塵埃数とCO2濃度の測定をおこないそれぞれの関係が検討されたが有意な相関は認められなかった.落下菌の約3/4は細菌であり約1/4は真菌であった.さらにくわしい落下菌の性質については今後検討する予定である.

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