h_kaishi
Online edition:ISSN 2758-089X

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1981.02.09

A Successfully Treated Case of Spontaneous Spinal Epidural Hematoma

73歳の女性が突然腰痛を生じ,その1時間後に起こった両下肢の運動麻痺と感覚消失を主訴に入院した.病歴,神経学的所見,脳脊髄液検査,ミエログラフィーにより脊椎管腔内の占拠性病変が疑われ,発症6日後に行なわれた椎弓切除術と術後の諸検査により特発性脊髄硬膜外血腫と診断された.本症は非常に稀な疾患であり,本邦では本例を含め僅かに10例が報告されているにすぎない.

1981.02.08

A case of perforated duodenal diverticulum

十二指腸憩室の穿孔例の報告は文献上比較的稀なものであるが,我々は最近十二指腸憩室の穿孔例を経験した. 症例は63歳の家婦で,腹部の激痛を訴えて来院した.理学的所見では右上腹部の筋性防禦を認め,末梢血検査で白血球数16,100(多核白血球95%)であったため緊急手術を施行した. 憩室は十二指腸下行部外側にみられ,穿孔をともなっていた.手術は憩室切除術を行ない,術後経過は良好で入院18日目に軽快退院した. 十二指腸憩室が穿孔した場合の死亡率はかなり高いため,穿孔の危険のある巨大な憩室に対しては予防的に外科的切除を考慮する必要がある.

1981.02.07

Study on Cranial Computed Tomography in Infants and Children with Central Nervous System Disorders Part 4. Findings of Cranial Computed Tomography in Patients withStatus Convulsivus

1カ月~15歳の痙攣重積状態(Status Convulsivus以下SCと略す)患者40例に対し, 経時的にCTと脳波検査を施行し,以下の結果を得た. 1) CT異常としては第I期(SC後1週未満)には脳浮腫を,第II期以降(SC後1週 以降)には脳萎縮を示すものが多かった. 2)脳波の基礎波はSC後早い時期には全般性徐波又は左右差を示し,時間が経つにつれ正常又は軽度律動異常を示すものが多くなった. 3)脳波上の発作波の焦点は第I期では後頭部と前頭部が過半数を占めていたが,第ⅠⅤ期(SC後1年以降)では側頭部が過半数を占めるようになった. 4)発症年齢別にみたCT異常率は1歳未満と3~5歳において高かった. 5)全身痙攣と半身痙攣のCT異常率に差はなかったが,前者は広汎性異常を,後者は半球性異常を示すものが多かった. 6) SCの持続時間の長いもの程, CT異常率は高かった.  7) Diazepam(以下DZPと略す)無効例のCT異常率はDZP有効例の約2倍で,前 者には半球性異常,後者には広汎性異常を示すものが多かった. 8)基礎疾患別CT異常率は症候性てんかんが100%,中枢神経系感染症が71%,特発 性てんかんが29%,代謝疾患および原因不明群が0%であった.  9) SC後の知能予後とSC後のCT所見には強い相関がみられた.即ち,CT異常率 知能予後の良好なものでは低く,不良なものでは高かった. 10) SC後に恒久的片麻痺を残したものでは全例にCT異常を認めたが,一過性運動障 害を残したものと運動障害を全く残さなかったものにはCT異常率に有意差はなかった. 11) SC後の脳波の基礎波が正常又は軽度律動異常のものでは大部分がCTは正常であり,基礎波の全般性異常にはCTで広汎性異常を,基礎波で左右差を示すものにはCTで半球性異常を示すものが多かった.逆に, CT所見の方からみると, CTが正常なものでは基礎波は全例正常又は軽度律動異常を, CTで広汎性異常を示すものには基礎波の全般性異常を, CTで半球性異常を示すものには基礎波の左右差を認めるものが多かった. 12) SC後の脳波でslow spike & waveやmultiple spikes & waveを認めるものでは殆どの症例が, single spikeやsharp waveを認めるものでは約半数がCT異常を示したのに対し,発作波を認めないものでは殆どがCTは正常であった. 13) SC後のCT異常側とSC後の脳波における発作波出現側とは39%,CT異常部位と発作波の局在とは13%で一致したにすぎなかった.

1981.02.06

Immunohistological Demonstration of CEA in Carcinoma, Mucosal Dysplasia and Mucosal Hyperplasia of the Gallbladder

胆嚢の原発癌40例と異型上皮3病変,乳頭状粘膜過形成9病変,有石胆嚢10例および正常胆嚢13例につき,酵素抗体法(PAP法,Dako社製抗血清)を用いて,CEAの局在を検討した. 胆嚢癌組織内CEAは,全癌の68%に出現し,組織型別では乳頭状ないし管状腺癌で91%,低分化腺癌で55%,未分化癌で25%と減少し,扁平上皮癌では0%であった.癌巣周囲粘膜内にみられた異型上皮巣および乳頭状粘膜過形成巣各2病巣にはCEAが出現し,非腫瘍性粘膜の20%の頻度であった.また癌を合併しない他の異型上皮巣1例でもCEA陽性であった.その他の癌巣周囲粘膜,有石胆嚢粘膜および正常胆嚢粘膜はすべてCEA陰性であった. 以上の所見より,胆嚢粘膜における異型上皮と乳頭状過形成巣の前癌病変としての意義はさらに強調されるべきことが示唆された.

1981.02.05

Effect of Positional Changes on Echocardiographic Measurement of the Right Ventricular Dimension

良好な右室エコー図が得られた37例(男20例,女17例,年齢は13歳から72歳で平均42.9歳)において仰臥位と左側臥位における右室内径の変動について検討した.その結果,左側臥位の右室内径が仰臥位のそれに比し,有意に高値を示した.従って,心エコー図法による右室内径の拡張有無の診断は,体位変換の影響を十分考慮する必要があると考えられる.

1981.02.04

Experiences of Surgical Treatment for the Emphysematous Cystic Disease of the Lung

当科で1976年7月から1980年9月までに経験した気腫性肺疾患は31例で自然気胸24例と7例の肺のう胞疾患であった.前者は若年者の男子に多く発生し, 20歳代に特に多く,一方後者は比較的高齢者に見られた.また体格は細長型に多く見られ,体重は標準の約87%であった.これらの症例に37回の開胸術(6回は異時両側開胸)を施行し,胸腔内操作を行なった結果,現在までには再発をみていないが,術後には対側の気胸や無気肺が起り,術中の呼吸管理に注意すべきであることが示唆された.また手術側に引き続き起る合併症は,呼吸不全,肺拡張不全,air leak, pleural effusionなどが主なものであり, これらに対して積極的に加療する必要があった.

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