h_kaishi
Online edition:ISSN 2758-089X

topimage01

1979.03.05

Background Factors of Inoperated Lung Cancer Patients Survived more than Eighteen Months

本邦で増加を続ける肺癌の予後は,治癒切除以外の場合には極めて悪い.放射線療法+化学療法の場合の2年生存率は僅かに6.3%にすぎない.比較的長期間の生存をうる患者は,老齢者であり,その腫瘍が緩徐に増大するという印象をうけた.従って,手術をうけなかった患者で18ヵ月以上の生存をした患者の背景因子を検討した.1973年4月より1977年12月迄に本院で手術以外の治療をうけた81症例のうち,18ヵ月以上生存した肺癌患者は12例(15%)であった.その患者は全例60歳以上であった.比較的長期間生存する肺癌患者の条件は,老齢であり,臨床病期が早く,治療に反応することであった.その理由について考察を加えた.

1979.03.04

A Case of an Abnormal Hemoglobin Found in the Patient Hospitalized for His Somatoscopy―Hb Senohzaki

川崎医科大学附属病院の公衆衛生科(人間ドック)に身体検査のため入院していた50歳の男性が等電点分画法によってHbA, HbJとHbNに相当する位置に移動する3つの明瞭なヘモグロビン帯をもつことが発見された.異常ヘモグロビンの含量はそれぞれ13.2%および33.1%であった.患者から得た溶血液のグロビン鎖分離試験ではただβ鎖異常のみを示した.故に我々はこの異常ヘモグロビンをHb Senohzaki と呼び,低含量の異常ヘモグロビンをHb Senohzaki-1,他方をHb Senohzaki-2 と命名した.網赤血中で合成されたヘモグロビンやグロビンの分析結果から, Hb Senohzaki-1 は生体内で何らかの反応(酵素的反応等)によってHb Senohzaki-2に変えられ, Hb Providence Asnが生体内で脱アミノ化によりHb Providence Asp に変換するのと同様な現象を示すことが示唆された.Hb Senohzaki の一次構造解析や酸素親和性の測定が今後大変興味ある.

1979.03.04

Neoplastic Transformation in Culture of Normal Human Cells

培養ヒト正常細胞をコバルトガンマー線で照射して癌化させ,癌化した細胞の特徴を検討した.また,培養ヒト正常細胞を利用しての発癌実験の目的と意義,さらにその問題点を述べた.最後に,培養ヒト細胞の利用は,動物と人体への橋渡し的意義をもつきわめて重要な実験手段となることを提案した.

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