h_kaishi
Online edition:ISSN 2758-089X

topimage01

1980.01.01

studies on the Growth of Varicella-Zoster Virus (VZV) 1. Long-Term Maintenance of Human Embryo Fibroblasts

Varicella-zoster virus (VZV)の感染実験に用いる宿主について検討する目的で実験を行ない次のような結果を得た.1.ヒト胎児皮膚筋由来の線維芽細胞(HEF)はヒト胎児肺線維芽細胞(HEL)よりVZVに対する感受性が高い.2. HEFは初代細胞系であり,老化は不可避である.このHEFの植継ぎ回数を抑制して,長期維持培養を行ない,老化までの期間を延長させることに成功した.増殖用培地として10%ウシ胎児血清を加えたEagle’s minimum essential medium (MEM),維持培地として2%仔ウシ血清を加えたMEMを用いた.植継ぎ2週後に増殖用培地から維持培地に換えて,以後3~4週ごとに培地交換を行なった.その結果HEFの細胞シートは1回の植継ぎで11カ月にわたって維持できた.3.本法は細胞の早急な実験への供給を可能にし,長期保存法として有用な方法であることが判った.

1979.03.09

The Evaluation of 201T1C1 for Thyroid Imaging Agent

甲状腺scan剤としての201TlClの有用性について,基礎的及び臨床的に検討した. 1. 201TlClのWistar系ラットにおける臓器集積は腎,甲状腺,肺,心,十二指腸,横紋筋,肝,血液の順であった. 2. 201TlClはMercazole, TSH投与Wistar系ラットでは甲状腺集積性が高く,組織学的には甲状腺濾胞上皮細胞はより円柱状をしめした.T3投与群では逆であった. 3. Wistar系ラットの諸臓器,特に甲状腺では42KCIと201TlClの集積性は正の一次相関を示した.この関係は,甲状腺機能を変化せしめても移植癌でも同様であった. 4.発育速度の早いマウス皮下移植腫瘍Adenocarcinoma 755 は,発育の遅いC5760よりも201TlClの集積性が高い. 5.ヒト甲状腺癌の201TlCl陽性率は85%,腺腫60.9%,腺腫様甲状腺腫42.6%,のう腫0%である.のう胞の各疾患への混在は201TlClの集積率を低下させる. 6.転移リンパ腺に集積がみられた事は,極めて有用であった. 7.ヒト甲状腺のT/N比は,癌と濾胞腺腫では前者が高値を示し,有意差(p<0.05)を認めた.

1979.03.08

Electron Microscopic Demonstration of Immune Complex in the Skin

1. Horseradish peroxidase (HRP)を抗原とし in vitroで不溶性のHRP-anti-HRP immune complex (IC)を作製し,正常家兎に皮内注射し同部皮膚および領域リンパ節を採取し,ペルオキシダーゼ反応施行後透過電顕で観察した.皮膚では電子密度が高く不規則顆粒状に見られるICを取りまいて多数の好中球が浸潤しこれを貪食したものや,細胞膜が破壊されライソゾームが細胞外に見られるもの等が認められた.領域リンパ節では二次ライソゾームを持った好中球やマクロファージが観察された. 2.モルモットの皮膚でHRPを抗原としたreversed passive Arthus反応を惹起し,これを透過電顕で観察した.ICは真皮上層の小静脈の基底膜部や膠原線維束間に見られ,好中球やマクロファージがこれを貪食したものや,多数の好酸球の細胞膜に粘着したり,一部は乳頭層の線維芽細胞の細胞膜にも粘着し,基底膜にも沈着していた.また一部では表皮細胞間や角化細胞の細胞膜に粘着しているものも見られた.

1979.03.07

Pleural Dimpling as a Pleural Change in Lung Cancer

肺癌の場合には種々の胸膜の変化が見られる.よく知られているものとして第1番目に,肺癌が直接的または間接的に胸膜を侵襲する場合であり,臨床的には胸膜炎として把握されるものである.第2番目として末梢型肺癌,殊に腺癌の場合に認められる胸膜嵌入像がある.次に第3番目としてpleural dimplingなるサインをここに紹介する.このpleural dimplingとは,腫瘤の末梢部分に無気肺を来し,そのために臓側胸膜が凹むとするものであり,臨床的には胸部X線写真上両側胸膜の間隙像を捉えることで理解される.本論文ではpleural dimpling を来した症例を紹介し,その意義について考察した.しかしながらその頻度,組織との関係などについては今後の検討を待ちたい.

1979.03.06

Duodenal Atresia Secondary to Intrauterine Midgut Strangulation by an Omphalocele

患者は32歳の母親より出生した第1子の女児である.胎生の初期に中腸の全部が臍輪において絞扼された結果,十二指腸閉鎖症となった症例である.現在までに臍輪による絞扼という血行障害により十二指腸閉鎖症が生じたという報告例はなく,本症例が第1例目である.この症例はLouwらの腸閉鎖症の発生に関する血行障害説が空・回腸のみでなく十二指腸にも適応されることを示した貴重な症例である.

← newer entries older entries →