1980.01.07
Computed Tomographic Diagnosis of Biliary Tract Diseases
胆道疾患におけるCT検査の診断的意義について我々の経験と,これまでに報告された論文から綜説した.CTは従来の胆道造影法にて検出しえない胆嚢結石の描出に極めて優れていた.また閉塞性黄症が肝内性か肝外性かの鑑別が容易であった.胆嚢癌では, CTは胆嚢壁および胆嚢内腔の描出が優れているため,進展度の判定に役立った.
1980.01.06
THE SPONTANEOUS CYTOTOXICITY OF RAJI CELLS TO SHEEP RED CELLS DETECTED WITH THE PLAQUE ASSAY
1980.01.06
Factors Influencing the Development of the Left Atrial Thrombus and Systemic Arterial Embolism in Mitral Stenosis
直視下僧帽弁交連切開術をおこなった42例の僧帽弁狭窄症を対象とし,左房血栓,動脈塞栓症発生に関与する因子について検討した.塞栓症既往例は38%,左房血栓は28.5%にみられたが両者ともに存在した例は14.2%にすぎなかった.左房血栓は塞栓症既往例の37.5%,塞栓症の既往のない症例の23%に認められた.塞栓症は洞調律群の47%,心房細動群の33%とむしろ洞調律群に多くみられたが左房血栓は洞調律群の6.7%,心房細動群の40.7%にみられた.僧帽弁狭窄症にみられる左房血栓の頻度は心房細動を有する高齢者で,左房の拡大,狭窄の程度,弁,弁下組織の器質的変化が強くなるにつれて多くなるが,塞栓症はこのいずれとも関係なく発生することが認められた.
1980.01.05
Primary Malignant Lymphoma of the Breast : A Case Report with Immunoperoxidase and Electron Microscopic Studies
乳房原発の悪性リンパ腫は比較的稀であり,さらにその細胞由来の検索は今日まで十分になされていない.我々は,従来いうところの乳房細網肉腫の1例を経験し,酵素抗体法および電顕的観察から,リンパ球由来の悪性リンパ腫と考えたので報告する.症例は53歳女性で,右乳房における直径4cm大球形の腫瘤のため乳房切断術をおこなった.組織学的には,類円形リンパ腫細胞のびまん性密な増殖からなり,特別な配列構造はみられず,著明な血管増生を伴っていた.大部分の腫癌細胞は大型円形で,核の切れ込みはみられず,好塩基性の胞体を有していた.また中等度の細胞形態の多形性と少数ながら多核巨細胞の出現もみられた.腫瘍細胞間には中等度のマクロファージの浸潤がみられた.酵素抗体法では,腫瘍細胞胸体内にリゾチームは証明されず,またIgGおよびIgMも陰性であった.電顕的には,リンパ球系細胞としての特徴がみられたが,組織球性の性格はみとめられなかった.
1980.01.04
A case of Macroamylasemia and Review of the Literatures in Japan
症例は46歳の男性で, 1977年より当科にて肝硬変症の診断のもとに入退院をくり返していた.血清amylaseが持続的に高値を示し, amylase clearanceが異常低値を示したためmacroamylasemiaを疑い検索した.このmacroamylasemiaはSephadex G-200によるcolumn chromatographyにて,その分子量は7Sと19Sの間にあり, IgA,Kと結合していた.我々の症例を含めた,本邦例51例につき文献的考察を加えて報告した.
1980.01.03
DETERMINATION OF IODINE AND BROMINE IN THE HUMAN THYROID GLAND BY NEUTRON ACTIVATION ANALYSIS
1980.01.03
Application of a Deltopectoral Flap to the Skin Invasive Thyroid Cancer
甲状腺腺癌が,徐々に増大し,しかも長期生存している場合,遂に前頸部皮膚に浸潤自潰し,通常の処置では止血が困難なことが起こり得る.この様な症例に対し,保存的ではあるが積極的に手術を施行し,止血を行ない,社会復帰を計ることは有意義であると考え,我々の経験した症例を報告する.症例は, 85歳,女性で, 6年前より前頸部腫瘤を認め,徐々に増大した.生検の結果,甲状腺乳頭腺癌と診断されたが,根治手術は不可能なので甲状腺ホルモンを投与しながら外来で経過観察とした.昭和54年,前頸部皮膚に浸潤自潰し,持続的出血が始まり通常の処置では止血困難なのでBakamjianのmedially based deltopectoral flap (D-P flap)を応用し保存的手術を施行した.術後経過は良好で,現在も頸部運動制限も認めず,日常生活に支障なくすごしている.