h_kaishi
Online edition:ISSN 2758-089X

topimage01

2017.06.21

Achalasia treatment ―factors associated with the outcome of pneumatic dilation― (second report)

食道アカラシアは食道運動障害を呈する疾患で,良性疾患ではあるものの,QOL を大きく障害し,食道癌の発生リスクともなるため,適切な診断治療が重要である.一般的に,治療は内視鏡的治療や外科的治療が行われる.以前,我々は内視鏡的バルーン拡張術(pneumatic dilation:PD)を行った16例の食道アカラシアについて,PD の有効性に関する因子を検討し報告した.近年,新たな食道運動障害の診断基準(Chicago 分類)も策定されたことも踏まえ,アカラシア症例36例での検討を行ったため第2報として報告する.対象は当院で食道アカラシアと診断し加療した36例で,うち27例(男性8例,女性19例,平均年齢51.0±16.5歳)にPD を行った.対象をPD有効例と無効例とに群分けし,その2群間で患者背景,QOL,High-resolution manometry( HRM)所見,治療前後でのHRM 所見の差異について検討を行った.結果はPD 有効例は19例(70.4%)であった.有効群と無効群との比較を行うと,無効群で女性が多い傾向にあった(p=0.06).HRM所見では有効例でChicago 分類typeⅡアカラシアが有意に多く認められた(p=0.04).また,治療前後のHRM 所見の差異については,有効例で治療前後の下部食道括約筋(lower esophageal sphincter: LES)圧変化率が有意に大きかった.以上より,Chicago 分類typeⅡのアカラシアではPD の有効性が高く,また1度PD を行った症例でもLESP 変化率が大きい症例では有効性が高いことが示された.

2017.03.01

A case of protein-losing gastroenteropathy in association with steroid-resistant systemic lupus erythematosus which was successfully treated with cyclophosphamide pulse therapy

全身性エリテマトーデスは,全身の多臓器に炎症を起こし多彩な症状を引き起こす全身性自己免疫疾患である.消化器病変としては,ループス腸炎や腸間膜血管炎が多く,蛋白漏出性胃腸症を呈するのは稀である.我々はシクロホスファミドパルス療法が著効したループス関連蛋白漏出胃腸症の症例を経験した. 患者は20歳代女性.全身の浮腫と喉頭浮腫による呼吸困難感で当院に搬送され,血液検査で低アルブミン血症,抗核抗体陽性,抗SS-A 抗体陽性,低補体血症を認めた.99mTc 標識ヒト血清アルブミンによる消化管シンチグラフィにて,胃から小腸の広範囲で蛋白漏出が認められた.ループス関連蛋白漏出性胃腸症と診断し,ステロイドパルス療法を含め2週間以上のステロイド大量療法を行うも症状の改善を認めなかった.ステロイド治療に併用してシクロホスファミド700 mg の点滴を施行したところ,翌日より大量の尿排泄(5,000 ml/ 日以上)を認め,速やかに全身状態は改善した.ループス関連蛋白漏出性胃腸症は,ステロイドが奏効しない例も存在することを念頭に置き,免疫抑制薬を早期から併用することも重要である. doi:10.11482/KMJ-J43(1)9 (平成28年12月16日受理)

2017.03.01

A clinical study on breast cancer patients with sentinel lymph node micrometastases

N0乳癌において症例を選べば,センチネルリンパ節転移陽性例であっても,腋窩リンパ節郭清(ALND)の省略が可能であると報告されている.微小転移(pN1mi)乳癌においても,同様の結果が得られている.当科でセンチネルリンパ節生検(SLNB)を施行し,pN1mi であった66例を研究対象とした.SLNB の方法は,99mTc-フチン酸を用いたRI 法とインドシアニングリーンを用いた色素法の併用法で行った.SLNB 群52例とSLNB → ALND 群14例に分け,予後を中心に検討し,ALND 省略の可能性について検討した.結果は,1)SLNB 群とSLNB → ALND 群で無病生存率および全生存率に有意差を認めなかった.2)乳房切除症例でも同様の結果であった.3)スキップ症例や術後にpN1mi と判明する症例が存在する.pN1mi 症例では乳房の術式にかかわらずALND の省略が可能である. doi:10.11482/KMJ-J43(1)1 (平成28年12月12日受理)

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