2017.11.22
Four cases of type A gastritis in our hospital
A 型胃炎は稀な疾患で,悪性貧血や胃癌,胃NET の発生母地として知られている.抗胃壁細胞抗体陽性,高ガストリン血症,さらに胃体部を中心とした萎縮性胃炎が診断基準とされている.今回,過去1年に4例のA 型胃炎を診断した.全例で自覚症状は見られなかったが,内視鏡検査での逆萎縮所見からA 型胃炎を疑い,胃生検の病理所見と血液検査で確診した.A 型胃炎が他の自己免疫性疾患に合併することが多いとされているが,本症例にも高齢発症のBasedow 病が1例あり,A 型胃炎は日本でも決してまれな疾患ではないと考えられた.診断には内視鏡所見からA 型胃炎を疑うことが重要で,胃生検や血清ガストリンと抗胃壁細胞抗体の測定を行うことにより確診できる.
2017.11.09
Acquired hepatocerebral degeneration caused by a large splenorenal shunt with hyperintense signal changes in the bilateral pyramidal tract on T2-weighted magnetic resonance imaging
患者は68歳女性.5か月前より徐々に動作緩慢や歩行障害が出現し当科を受診した.神経学的所見では,軽度の意識障害とasterixis を認め,左右差のない無動,痙固縮,下肢腱反射亢進,足クローヌスおよびバビンスキー徴候があった.頭部MRI 検査では,半卵円中心から内包後脚,および大脳脚にかけて拡散強調画像,T2強調画像,FLAIR 画像で高信号,T1強調画像で低信号の病変を認めた.採血ではアンモニア値が155 μg/dL と高値で,血清銅やセルロプラスミンは正常範囲内であった.脳波検査で基礎律動はθ波であったが,三相波は認められなかった.腹部造影CT 検査では,巨大な脾静脈-左腎静脈シャントを認め,Acquired hepatocerebral degenerationと診断した.蛋白制限食とラクツロース製剤内服を開始し,意識障害やパーキンソニズムなどの神経症状は改善し,アンモニア値は34 μg/dL と正常化したが,頭部MRI 病変の改善は認められなかった.本例は巨大脾腎シャントによるAcquired hepatocerebral degeneration(AHD)と考えられた.頭部MRIT2強調画像で両側錐体路に高信号病変を認めるAHD が散見され,文献的考察を含めて報告する.
2017.11.06
The role of Nrf2 activation in mouse rhabdomyolysis-induced acute kidney injury model
生体は親電子性物質,活性酸素種によって生成される酸化ストレスから生体を保護する応答システムを有している.Keap1(Kelch-like ECH-associated protein 1) -Nrf2(NF-E2 related factor2)システムがこの応答機構において重要な役割を果たす.核内移行したNrf2は転写因子として,NQO1,HO-1などの抗酸化遺伝子群の発現を制御する. 横紋筋融解症による急性腎障害(AKI: Acute Kidney Injury)の機序として,酸化ストレスが尿細管障害に大きく関与する.それ故,横紋筋融解症誘発性AKI においてもNrf2活性化による腎保護効果が期待される.横紋筋融解症誘発性AKI におけるNrf2活性化の意義と治療標的としての可能性を検討した.ヒト近位尿細管上皮細胞(hPTECs)を用いhemin 刺激に対するNrf2活性化の意義を検討した.hemin 刺激によりhPTECs におけるNrf2関連抗酸化遺伝子群の上昇,細胞障害を認めた.Nrf2-siRNA によるNrf2ノックダウン(KD)を行うことでhemin 刺激に対する抗酸化遺伝子群の発現上昇は抑制され,細胞障害が有意に増悪した.野生型マウス (WT),Nrf2欠損マウス(Nrf2KO)を用い,グリセロール筋注による横紋筋融解症モデルを作成した.(1)WT/Cont,(2)WT/ 横紋筋融解症(RM),(3)Nrf2KO/Cont,(4)Nrf2KO/RM の4群で比較検討した.結果は,WT/Cont に比べWT/RM 群で腎機能障害,尿細管障害,マクロファージ浸潤を認め,Nrf2KO/RM 群で有意に増悪した.抗酸化遺伝子群の発現はNrf2KO/RM 群で低下していた. 横紋筋融解症誘発性AKI において,Nrf2活性化が腎保護効果を有する事が示された.横紋筋融解症によるAKI に対して,Nrf2活性化が新たな治療標的となり得ることが明らかとなった.
2017.10.18
Complete atrioventricular block in anti-signal recognition particle (anti-SRP) antibody-positive myopathy
患者は70歳代前半女性.心不全で発症し,当院循環器内科で治療を受けた.心不全は利尿薬投与などで改善したが,CK 高値があり,その後に,首下がりや四肢近位筋筋力低下が出現進行したため,当科に入院した.右上腕二頭筋筋生検では,筋線維の大小不同,内部核の増加があり,壊死筋線維が多数みられたが,再生筋,myophagia や炎症細胞浸潤は軽度であった.抗体検査の結果と合わせ,抗signal recognition particle(SRP)抗体陽性ミオパチーと診断した.治療として,経口ステロイド療法を開始したが,治療開始17日目に失神発作を来たすようになった.心電図検査では完全房室ブロックであり,発作後3日目に永久ペースメーカー植え込み術を行った.経口ステロイド療法に加え,免疫グロブリン大量療法(IVIg 療法)を行ったところ,高CK 血症や頸部四肢筋力低下は徐々に改善した.抗SRP 抗体陽性ミオパチーの心合併症については,心伝導障害を含め,様々な議論があるが,これまでに完全房室ブロックを来たした報告はなく,貴重な症例と考えられた.
2017.10.02
Human bone marrow VCAM-1+ macrophages provide a niche for reactive and neoplastic erythropoiesis
2017.07.06
A case of miliary tuberculosis complicated with acute respiratory distress syndrome during the immunosuppressive treatment
症例は75歳,女性.MPO-ANCA 関連血管炎に対して半年間,ステロイド薬が投与されていた.4日前から発熱,呼吸困難が出現,意識障害も伴ってきたため,当院を受診した.画像上,両側肺にびまん性の中枢側に有意な浸潤影とすりガラス陰影を認め,急性呼吸促迫症候群(ARDS)の合併を疑われた.人工呼吸管理となり,挿管中に採取した喀痰抗酸菌検査で塗抹陽性,結核菌PCR陽性の結果が得られ,血液や尿からも結核菌が検出され,粟粒結核によるARDS と診断した.治療は入院後の第3病日からINH + RFP + EB による抗結核療法を開始し,人工呼吸管理および血液透析をしながら経過観察をしていたが,播種性血管内凝固症候群も併発し,第14病日に死亡した.ARDS を合併する粟粒結核の症例も散見されることから,鑑別診断に粟粒結核も念頭におきながら診療することが重要と思われた.
2017.06.21
Autopsy case of early lesion of PTLD after umbilical cord blood transplantation
移植後リンパ増殖性疾患(post-transplant lymphoproliferative disorders, PTLD)は,同種造血幹細胞移植後の生命を脅かす予後不良な合併症の一つである.臨床症状は非特異的であるが,PTLD を疑った場合はPCR 法による血中EB(Epstein-Barr)ウイルス-DNA 量を測定し,高値を示した場合はPTLD と判断する必要がある.今回,造血幹細胞移植後に高EB ウイルス血症を認め,急激な病状の悪化により死亡した症例を経験したため剖検所見を含め報告する.症例は,40歳代男性でフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病を発症し,治療にて寛解を得た後に臍帯血移植を施行した.移植後280日に高熱が出現し,胸部CT 検査から細菌性肺炎と診断し入院.抗菌薬治療を開始するも効果不良であり,呼吸状態の悪化と,意識障害が出現した.血液,肺胞洗浄液と髄液から,EB ウイルス-DNA 異常高値が検出された.PTLD と判断したが,急激に呼吸状態が悪化し死亡した.剖検では,肺胞内出血を認め,急激に悪化した原因と考えられた.そして,肺門部リンパ節や肺にはEBER(EBV-encoded small RNA)陽性細胞を多数認め,一部では大型多核細胞も散見され,early lesion of PTLD と判断された.Early lesion of PTLD であっても,本症例のように肺病変を認めた場合,出血による呼吸状態の悪化から急激な経過をたどることがあり,早期の対応が必要と考えられた.
2017.06.21
AITL suspected to have plasmacytoma by pleural effusion cytology
血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(angioimmunoblastic T-cell lymphoma: AITL)は新WHO分類において末梢T細胞 / NK 細胞腫瘍に分類されているT細胞性腫瘍である.その臨床像は,全身リンパ節腫大,肝脾腫,発熱,多クローン性高γ グロブリン血症など多様な症状を呈することが知られている.今回,我々は胸水細胞診で形質細胞腫が疑われたAITL を経験したので報告する.症例は80歳代の女性.近医にて気管支喘息治療中に,喘息症状が悪化し,全身の皮疹が出現.両側胸水貯留,CRP 高値が出現したため,精査治療目的で当院紹介となった.血液検査で貧血を認め,末梢血に形質細胞様の異型リンパ球を10%認めた.胸水には大小不同のCD138陽性形質細胞を多数認め細胞診で形質細胞腫が疑われたが,胸水セルブロックではκ・λ の軽鎖制限を認めなかった.骨髄検査では,形質細胞の増加を認めず赤芽球癆の状態であった.皮下腫瘤を生検した結果,AITL と診断した.AITL は,腫瘍細胞が直接的・間接的にサイトカインを産生し,それに起因した多彩な臨床像を呈する.そのため,AITL は反応性に形質細胞の増加を伴うことが多く,本症例は,反応性に胸水中に形質細胞の増加を伴ったと考えられた.また,AITL は赤芽球癆を合併することも報告されている.AITL では,反応性の形質細胞増多を伴う胸水貯留や赤芽球癆をきたす場合があることに注意すべきである.




