h_kaishi
Online edition:ISSN 2758-089X

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1990.03.17

Two Cases of Midline Cervical Mass ―Evaluation and Management of a Thyroglossal Duct Cyst― *

正中頚嚢胞1例および頸部正中に発生した皮様嚢腫1例を経験した.正中頚嚢胞を頸部正中に発生する皮様嚢腫や異所性嚢胞と見分けることは重要であるが,容易なことではない.また,正中頚嚢胞の摘出が不十分である場合,再発は免れない.Sistrunk法は理想的な手術法であり,もしこの方法で適切に手術が行われれば,良い結果が得られるであろう.                   (平成2年10月17日採用)

1990.03.16

A Case of Reconstruction of the Heel Using a Free Scapular Flap *

広範囲な下腿,踵皮膚欠損症例に対し遊離肩甲皮弁を用いた再建を行った.さらに肩甲皮弁採取後の欠損部を二期的に広背筋皮弁を用いて再建した症例を経験したのでここに文献的考察を加えて報告する.              (平成2年9月7日採用)

1990.03.15

A Case of Severe Pneumonia due to Methicillin- Resistant Staphylococcus Aureus (MRSA) after Measles *

症例は9ヵ月の男児で,麻疹罹患後に胸水貯留と右肺全体のconsolidationを来す重症肺炎を合併した.起炎菌はMRSAが検出され,感受性を示したフロモキセフとアミカシンの併用で治療したが,効果は得られず,イミペネムとホスホマイシンの併用が有効であり,感受性のin vivoとin vitroの差を思わせた.近年MRSA感染症の増加が問題となっており,特に乳幼児では重篤になる例も多い.本症例では麻疹感染による免疫機能の低下が,重症化した大きな要因と考えられた.乳幼児の麻疹においては, MRSAによる二次感染の可能性も考え,慎重に対処することが望まれる.                                  (平成2年9月12日採用)

1990.03.14

Two Cases of Marfan’s Syndrome with Infective Endocarditis *

マルファン症候群に感染性心内膜炎を合併した2例を経験した.症例1は,24歳男性,発熱・全身倦怠感を主訴として入院した.眼,骨格,心血管系異常と心エコー上僧帽弁逸脱と疣贅を確認し,マルファン症候群に感染性心内膜炎を合併したものと診断した.症例2は,26歳男性,不明熱を主訴に入院した.心エコーより,マルファン症候群に僧帽弁逸脱症と僧帽弁および三尖弁閉鎖不全を合併し,疣贅があることより感染性心内膜炎を合併していることが判明した.感染源となった弁は2例とも僧帽弁であり,いずれも内科的療法にて治療し得た.近年は,リウマチ性弁膜症に伴う感染性心内膜炎が減少し,非リウマチ性弁膜症に伴うものが相対的に増加しているので,不明熱の場合には,この2例に示されるようなマルファン症候群に伴う感染性心内膜炎の可能性を鑑別診断にあげる必要があると考えられる.(平成2年11月30日採用)

1990.03.13

Typical Cases of Familial Accessory Breasts (One Family, Three Generations) *

今回私たちは副乳が3世代,女性6名,男性5名に認められた家系を経験した.全例embryonal milk line 上に存在していた.1例に対して外科的切除が施行されたが,残りの者は手術を行わなかった.副乳の遺伝性に関する報告はいくつかあるが,明確なことはわかっていない.現在までに,日本における家族性副乳は調べた範囲内では,2例が報告されているのみである.  (平成2年9月19日採用)

1990.03.12

A Case of Unilateral Hypermastia Treated by Reduction Mammaplasty *

症例は24歳の女性で,6年程前より乳房の非対称を認めていた.右側乳房が明らかな原因なしに徐々に肥大してきた.今回, Strombeck法により乳房縮小術を行い,良好な結果を得た.                          (平成2年11月5日採用)

1990.03.11

Clinicopathological Study of Six Cases of Localized Subpleural Mesothelioma *

本学において経験した限局性胸膜中皮腫6切除例について臨床的ならびに病理学的に検討を加えたので報告する.有症状であったのは1例のみであり,他は無症状でいずれも偶然集団検診で発見されたものであった.3例は臓側胸膜から発生した有茎性の腫瘍で,他の3例は壁側胸膜から発生した無茎性の腫瘍であった.組織学的には,全例とも良性線維性胸膜中皮腫,限局型であった.経過は,観察し得た3例においていずれも再発なく,術後1年から5年たった現在も健在である.しかし,再発例の報告もあることから今後とも注意深い経過観察が必要と考える.              (平成2年12月17日採用)

1990.03.10

A Case of Giant Leiomyosarcoma of the Stomach *

胃内外性に発育を示した混合型の巨大な胃平滑筋肉腫の1例を経験した.症例は74歳男性.食欲不振,全身倦怠感を主訴に来院した.腹部単純X線検査で胃内腫瘤の存在が指摘され,胃造影検査と内視鏡生検にて胃平滑筋肉腫と診断した.病変の形態,広がりを把握するには,腹部超音波,腹部CT,血管造影が有用であった.腫瘍は胃原発性のものであり,胃内外性に発育し,胃内腔の腫瘍が小さい亜鈴型であった.大きさは,壁外性に14×13×7cm大で,壁内性に11×8×4cm大であった.病理組織診断は平滑筋肉腫であった.患者は術後26か月を経た現在,再発の微候はなく健在である.(平成2年12月15日採用)

1990.03.09

A Case of Peripheral Epidermoid Carcinoma Presenting a Pneumonia-Like Shadow *

症例は71歳男性.胸部X線で右中肺野に淡い肺炎様陰影を認め,半年後には一時軽度縮小し,明らかな腫瘤影を形成しないため炎症性病変と考えていた.しかし,7ヵ月後の喀痰細胞診でclass V (類表皮癌)の結果が得られたので,右下葉切除術が施行され,同様の結果が得られた.陰影の縮小を伴った限局性肺炎様陰影を呈した理由として,周囲にみられた器質化肺炎が,腫瘍自体は増大したものの経過とともに何らかの機序で改善し,限局性肺炎様陰影があたかも縮小したかのようにみえたものと考える.[平成2年].0月26日採用)

1990.03.08

A Case Report of the Synchronous Double Cancer (Liver and Stomach) Confirmed by Ultrasound-Guided Fine Needle Biopsy *

近年,重複癌の症例は著明な増加傾向にある.我々は肝細胞癌(HCC)と胃癌の同時性重複癌の1例を経験したので報告する.本例では,画像検査によるHCCと転移性肝癌との鑑別が困難で,超音波下細径針肝組織生検にて診断し得た.採取された肝癌組織は硬化型の部分と索状型の部分よりなり,前者における診断には電顕的観察が有用であった.(平成2年10月27日採用)

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