h_kaishi
Online edition:ISSN 2758-089X

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2022.07.28

A case of protuberant lesion of the gallbladder for which FFT analysis may have been useful in determining benignity

胆嚢の隆起性病変は,良悪性の鑑別が重要である.今回First Fourier Transfer(FFT)解析が良悪性の鑑別に有用と思われた1症例を経験したので報告する. 症例は75歳女性,健診で近医受診.abdominal ultrasonography(AUS)で,胆嚢隆起性病変を指摘され当院当科紹介となった.精査の結果,胆嚢癌が疑われ,手術が施行された.病理所見では,胆嚢コレステロールポリープの診断であった.胆嚢の隆起性病変では,AUS による壁血流速度測定が良悪性の鑑別に有用であるとの報告があるため,胆嚢隆起性病変で良悪性の鑑別が困難な症例においてはAUS で壁血流速度を評価することが重要であると思われた.

2022.07.13

A dialysis patient with multiple intestinal diverticula in whom partial penetration was recognized.

小腸憩室は比較的稀な疾患で,多くが無症状で経過するが,穿孔した場合は腸間膜内に穿通し膿瘍形成をきたす.高齢者に多く,その診断および治療の遅れから重篤な経過をたどることも少なくない.その診断にはコンピュータ断層撮影(CT)が有用とされているが,穿孔部位や憩室の特定は困難とされ,術前に指摘できるものは決して多くない.透析患者では高リン血症に対し陰イオン交換樹脂剤などが一般的に使用されるが,消化管穿孔の注意が記載されている.今回我々は,透析患者の腸管穿孔の原因検索に体外式超音波(US)が有用であった1例を経験したので,文献的考察を含めて報告する.症例は70歳台男性,18年前から血液透析を行っている.10日前に発熱で近医を受診し,保存的に経過を見ていたが炎症反応の上昇を認め当院紹介受診した.身体所見は心窩部付近に軽度の圧痛を認めたが腹膜刺激兆候は明らかでなかった.単純CT で消化管外のfree air が疑われ,精査目的にUS が行われた.US では空腸に多発している憩室と,憩室周囲の膿瘍形成およびその内部のfree air と思われる点状高エコーが認められ,小腸憩室穿通と診断した.同日小腸切除術が行われ,病理組織学的検索の結果,US と同様の所見であった.また穿通した憩室にセベラマー結節が認められ,憩室穿通に関与した可能性が示唆された.US は透析患者における憩室穿通の診断に有用である.

2022.06.13

An adult female suspected case of herpangina presenting with fever, headache, and oral phlyctenula

ヘルパンギーナは,発熱と口腔粘膜の水疱性の発疹が特徴の急性のウイルス性咽頭炎で,おもに小児にみられ,夏に流行する.我々は,発熱,頭痛,軟口蓋の小水疱を呈し,ヘルパンギーナが疑われた成人女性の1例を経験したので報告する.患者は25歳,女性.7月に発熱,頭痛,嘔気を主訴に受診し,入院となった.血液検査では,CRP とプロカルシトニンの上昇を認めた.頭部CT では,出血や占拠性病変は見られなかった.胸腹部CT では,熱源となる異常所見は見られなかった.抗菌薬投与と対症療法を行い,発熱,頭痛は改善を認めた.口腔内違和感の訴えがあり,口腔内所見で軟口蓋に紅暈を伴う小水疱を数個認め,エンテロウイルス属感染症(ヘルパンギーナ)が疑われた.エンテロウイルス属のウイルス抗体検査では,原因ウイルスは特定できなかった.夏期に発熱,口内炎を呈する場合には,成人でもへルパンギーナを鑑別に挙げる必要があると考える.

2022.04.13

Correlation between length of stay in acute stroke wards and the functional prognosis after comprehensive rehabilitation

脳卒中発症後の機能予後改善には回復期リハビリテーションが有効である.急性期病棟から回復期リハビリテーション病棟に早期に移ることが,機能予後改善につながる可能性がある.本研究では,急性期病棟の在院期間と長期予後改善効果の関連性を検討することを目的とした.2018年1月1日から2018年12月31日までに川崎医科大学附属病院脳卒中科に入院した急性期脳卒中症例のうち,回復期リハビリテーション病棟に転棟・転院した症例を対象とした.脳卒中科退院時に比し,一年後にmodified Rankin scale が1以上改善した症例を改善有と定義した.改善有と関連する患者背景因子,入院中の診療データについて検討を行った.関連性はカイ二乗検定を用いて評価し,有意な関連性を示した因子についてはロジスティック回帰分析を用いて解析した.対象期間に入院した急性期脳卒中408例中,回復期リハビリテーション病棟に転棟・転院したのは142例であった(男性90人,中央値76.0歳).改善有は57例であり,在院期間の第一四分位である17日未満で回復期病棟に移った群で改善有が有意に多かった(P < 0.01).ロジスティック回帰分析でも急性期病棟の在院期間が短い(17日未満)ことが改善有と独立して関連した.急性期脳卒中患者の急性期病棟在院期間を短縮することが機能予後改善につながることが示唆された.

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