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Online edition:ISSN 2758-089X

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1997.04.06

Treatment of infectios ulcer with strong acidic electrolyte solution *

 近年のさまざまな保存的および外科的治療法の進歩にもかかわらず,再発を繰り返す難治性潰瘍に遭遇することはまれではない.とくに感染を合併したものでは,治療に難渋することが多い.今回,私達は身体各部の感染を伴った難治性潰瘍患者12名に対し,酸性生成水溶液(機能水)を用いた保存的治療を行った.その結果,6例において上皮化による創傷の治癒が認められ,2例においては上皮化による創治癒までには至らなかったが良好な肉芽の形成が認められ,その他の4例においても排膿や悪臭の軽減など感染の鎮静化が認められた,                         (平成10年4月18日受理)

1997.04.05

Sclerotherapy for varicose veins *

 1992年5月から1997年4月までに一次性下肢静脈瘤248例,324肢に硬化療法を施行した.病型別ではsaphenous type 195肢,segmental type 125肢,reticular type 4肢であった.硬化療法には14.6%高張食塩水を用い,注入後は小綿球および弾力包帯にて圧迫した.saphenous typeは143肢に手術を併用した.硬化療法後の合併症は血栓性静脈炎23.5%,色素沈着17.4%,再発は5.1%にみられた.伏在静脈高位結紮術を併用した硬化療法の再発は1例のみであり,saphenous type 静脈瘤に対する加療として最も有用な方法と考えられた.segmental typeは122肢に硬化療法単独で加療を行い,硬化療法後の合併症は色素沈着20.8%,血栓性静脈炎15.2%,再発は8.0%にみられた.再発の原因としては不全交通枝の関与が考えられ,難治例には不全交通枝の結紮術を併用すべきであると考えられた.                                 (平成10年3月25日受理)

1997.04.04

Significance of anti carbonic anhydrase antibodes in rheumatic autoimmune diseases *

 過去に当教室では,リウマチ性自己免疫疾患(Rheumatic autoimmune disease : RAD)患者の血清中にCarbonic anhydrase (CA)に対する自己抗体が存在することを報告している.今回の実験では, CA Ⅰ,Ⅱの一次構造をもとに作成した合成ペプチドを抗原として(CA Ⅰ:P1-P21, CA Ⅱ : P1-P20),RAD患者(全身性エリテマトーデス,シェーグレン症候群,全身性強皮症,皮膚筋炎)血清中の抗CA自己抗体のepitope mapping を行った. CAIでは健常人群とRAD群に共通するエピトープ(P5,P7)に加え,疾患特異的なエピトープが認められた(全身性エリテマトーデス;P1,2シェーグレン症候群;P4 全身性強皮症;P1).一方CAⅡではRAD群と健常人群では異なった部分に反応がみられ,RAD群ではP2,8,15,健常人群ではP20であった.特にRAD群のエピトープの1つ(P8:91―103)は亜鉛活性部位と一致していた.          (平成10年3月9日受理)

1997.04.03

Prevalence of smoking among medical students, 1986-1995 *

 昭和61年度(1986年)から平成7年度(1995年)までの10年間にわたって,川崎医科大学の第5学年医学生における喫煙状況を調査した.調査方法としては,呼吸器内科に臨床実習のため回って来た際に,各班ごとに一人ひとりの喫煙習慣について聞き取りを行った.男子学生の喫煙率は44.4%~70.8%,女子学生では3.0%~13.2%と変動がみられた.医学生の喫煙率は, 1995年の男子を除いて,性別,年齢層が同じ一般人口の喫煙率よりも大抵低かった.最近5年間(1991~1995年)の平均喫煙率は,それ以前5年間(1986~1990年)と比べると増加していた.女子学生の喫煙率は全般的に低いとはいうものの,男子学生の喫煙状況に影響されるようであった.男子学生の1日喫煙本数をみると,約半数が11~20本の中喫煙者であった.当大学において,医学教育のカリキュラムを見直し,全学をあげて喫煙状況の改善に取り組むことが求められる.        (平成10年2月21日受理)

1997.04.02

Expression of parathyroid hormone-related protein and its receptor in human myeloma cell lines *

 多発性骨髄腫に合併する高カルシウム血症の発生機転を検討する目的で,本学にて樹立された7系のヒト骨髄腫由来細胞株を用いて副甲状腺ホルモン関連蛋白(PTHrP)ならびにそのレセプターの発現を,逆転写ポリメラーゼチェーンリアクション(RT-PCR)にて検討した.その結果,7株中6株で,程度の差は存在するもののPTHrPの発現が認められ,3株ではレセプターの発現も認められた.また,両者の発現の度合は, PTHrP発現の強い細胞株ではレセプターの発現が無く,弱いか無い細胞株ではレセプター発現が強いという傾向が認められた.この結果は直接的に骨髄腫における高カルシウム血症の発生機序を説明するものではないが,種々の破骨細胞活性化因子とPTHrPとの相互作用を今後検討する上で基礎的所見となる.                 (平成10年1月27日受理)

1997.04.01

Cerebral thromboembolism originated from arterial fibrillation – Is it preditable and prevbentative ? – *

 最近,多くの心房細動患者に遭遇する.また,心房細動由来の脳梗塞(脳塞栓)が多発している.そこで本稿では筆者の臨床経験を踏まえ,以下の項目に関して検討した.1.心房細動と脳塞栓に関する臨床研究一筆者の経緯.2.米国前大統領と心房細動.3.僧帽弁狭窄と心房細動の関連.4.自験例,心房細動と脳塞栓に関する「間一髪の症例」.5.僧帽弁狭窄500例での心房細動・脳塞栓の関連.6.心房細動・脳塞栓とそのマネージメントに関するアンケート調査.7.非弁膜性心房細動における脳塞栓の一時予防に関する欧米での大規模研究の成績.8.筆者の外来における心房細動,血栓塞栓症と経食道エコー所見との関連.9.我が国における心房細動・脳塞栓に関する研究の展望.   (平成10年2月28日受理)

1997.03.07

Osteochondral fracture of the talus with lateral collateral ligament injury of the ankle joint *

 足関節外側側副靭帯損傷に伴った,距骨骨軟骨骨折の1例を経験したので報告する. 症例は22歳男性で,右足関節痛を主訴に当科を受診した.既往歴として右足関節外惻惻副靭帯損傷があり,某医にて3週間のギプス固定による保存的治療を受けていた.初診時,足関節の不安定性を認め,距骨傾斜角は15度であった.単純X線,断層写真,CT上,距骨病変は認めなかった.経過観察中に,再び右足関節の内反強制による捻挫を受傷し,歩行困難となったため,精査目的にて同部位のMRIを撮像したところ,距骨滑車面前外側に輝度変化を認めた.距,骨骨軟骨骨折と診断し保存的治療を行った.足関節靭帯損傷後愁訴の残存するものや,距骨傾斜角が15度以上のものには距骨骨軟骨骨折の合併に注意が必要であり,診断にはMRIが有用と思われた.           [平成9年].0月20日受理)

1997.03.06

Etiological and clinical studies of surgically treated mitral valve disease *

 1975年から1996年までの22年間に施行した僧帽弁膜症初回手術例228例を1985年以前の前期, 1986年以後の後期に分け,その成因と病態,外科的治療法について検討した.弁膜症の成因としてはリュウマチ性が169例,非リュウマチ性59例であった.僧帽弁膜症の病態は狭窄が129例,狭窄兼閉鎖不全が27例,閉鎖不全が72例であった.非リュウマチ性閉鎖不全59例では腱索断裂が26例と最も多く,逸脱16例,感染性心内膜炎11例,虚血性4例と原因は多彩であった.後期にはリュウマチ性僧帽弁膜症の著しい減少と,非リュウマチ性僧帽弁閉鎖不全症の増加がみられ,とくに人口の高齢化とともに腱索断裂と逸脱の増加がみられた.外科的治療は後期にはリュウマチ性弁膜症では弁置換例を要する例が多く,非リュウマチ性閉鎖不全には弁形成術が積極的に行われた.僧帽弁逸脱と腱索断裂は弁形成術の最もよい適応となり,最近6年間の腱索断裂では68%に弁形成術が可能であった.                               (平成9年11月28日受理)

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