h_kaishi
Online edition:ISSN 2758-089X

topimage01

1989.02.07

Electron Microscopic Study of Isolated Microfold Cells (M Cells) from Follicle Associated Epithelium (FAE) of Rabbit Peyer’s Patch *

ヒトパイエル板リンパ濾胞上皮細胞間に存在する microfold cell (M細胞)はOwenらによって報告されて以来検討が加えられ,免疫組織学的に消化管局所免疫の第一線を担う細胞であることが明らかにされつつある.しかし,なぜM細胞が抗原物質を捕捉するかについてはいまだ明らかにされていない.このため従来の胞細分離(トリプシンーEDTA)法に改良を加え,フローサイトメトリーを応用した方法で家兎回腸パイエル板からM細胞単離を試みた.単離した細胞形態は電顕学的に観察し,機能検討にはBCG菌捕捉の有無を観察し下記の結果を得た.1)形態学的によく維持されたM細胞を単離回収することができた.2)単離したM細胞はBCG菌体をmicrofoldを伸ばして捕捉していた.この細胞単離法はM細胞単離に有効であり,今後のM細胞機能解明に寄与できるものと考えられた.(平成元年3月6日採用)

1989.02.06

Lymphoid Organ and Immune System in the Respiratory Tract ―I. A Histological and Immunohistochemical Study of the Human Lung― *

健常と思われた剖検肺11例(平均年齢56歳,男:女=6:5)及び気道系に慢性炎症を伴った外科摘出肺2例(36歳女,86歳女)を用い,気道上皮層内に存在するintraepithelial lymphocyte (IEL)とbronchus-associated lymphoid tissue (BALT)について組織学的,及びLCA, MT1, LN2, S-100 protein, lysozymeを用い免疫組織学的に検討した.その結果,気道上皮層内には非上皮性の細胞として少なくともTリンパ球とLN2陽性の細胞が存在し,これらは末梢気道にいくに従って気道円周当たりの数は減少していた.また,慢性炎症を伴う気道病変では気道上皮層内のTリンパ球は増加し,上皮下にはBリンパ球を主体とするリンパ球の集合巣があり,健常肺には存在しなかったBALTの形成が認められた.これらの結果から. IELこそが局所免疫機構発現の出発点となっているのではないかと推測された.(平成元年3月2日採用)

1989.02.05

Study of Normal and Cancerous Breast by Contact Thermography from Viewpoint of Vessels Group *

正常乳房の熱画像を乳房支配血管群からcontact thermographyとtele-thermographyを用いて比較し,両者の関係を検討した.また,乳癌乳房におけるこれら血管群の分布も検討した.1.正常乳房の血管群を内側・上方・外側血管群の3群に分類した.2.正常乳房の血管分布は,内側血管群の出現頻度が最も高く,また,すべての年齢層で最も高い.外側血管群の単独出現は内側血管群よりも低頻度で,通常内側血管群とともに出現する.上方血管群の出現は最も低頻度で,単独出現はほとんどなく,内・外血管群に伴って出現する補助血管群である.3.正常乳房の各血管群出現頻度は,31~40歳が最も高率で成熟期乳房である.61歳以上の高齢者は血管構築の乏しい低温乳房であるが,内側血管群により支配されている.4.上方血管群は乳癌乳房では高頻度に出現するが,各乳房支配血管群の出現頻度は乳癌発生部位と関係がある.(平成元年2月28日採用)

1989.02.04

Scanning Electron Microscopic Study of the Liver Using the Chemical Digestion Method ―Observation of Proliferated Bile Ductules― *

増生した細胆管の立体的構築および非自由表面像を明らかにする目的で,化学的消化法(HCl-collagenase法)を用いた走査電顕的観察を行い,次のような結論を得た.1.本法は増生細胆管の立体的構築とその非自由表面を観察するのに有用な方法であった.2.明瞭な管腔を形成しながら増生する定型的細胆管と管腔形成の不明瞭な非定型的細胆管の立体的構築を明らかにした.すなわち前者は,多方向性に複雑に吻合しながら走行し,後者は連珠状の膨らみをもち,複雑な吻合を形成しながら屈曲,蛇行していた.3.増生した細胆管の非自由表面の観察では,基底側の上皮細胞間隙が,非定型的細胆管に比較して定型的細胆管で有意に広かった.4.結合組織に残された増生細胆管の鋳型面の観察では,その走行を知ることができたにとどまった.鋳型の詳細な観察には実質細胞成分を消化除去し,結合組織の線維性成分を残して観察する方法が必要と考えられた.(平成元年2月20日採用)

1989.02.03

Antitumor Activities of Polysaccharides of Human Type Mycobacterium by Cytotoxic Effect and Collagenation on the Growth of Malignant Melanoma Grafts *

悪性黒色腫細胞の移植腫瘍に対する人型結核菌(青山株)より抽出した菌体多糖体成分(SSM)の抗腫瘍性を検討した.大由来株G―361をathymic mouse (Balb/c nu-nu)へ,マウス由来株clone-M-3及びB-16はathymic mouse及びthymic mouse (Balb/c及びC57BL/6へ移植し, xenografts及びallogeneic graftsを作ってSSM 0.5~100μgを,隔日,皮下及び腫瘍内へ注射した.いずれの細胞も著明なtumor angiogenesisがみられるが,特にB-16は著明であった.X線解析で各細胞の(TAF)の一つとして知られているcopper (ceruloplasmin)を調べたが陰性であったathymic mouseに比し,正常マウスのthymic mouse でのcollagen産生はin vitro 及びin vivoでも著明で,後者の方がcollagenationとcicatrizationによる腫瘍の強い瘢痕化を示した. 高濃度SSM (50~100μg)は著明な間質反応を誘起し,collagenとしては,移植1ヵ月では腫瘍内では. IV type, 本来の間質ではⅢtypeが主体で,その他mast cell, macrophage, fibroblast の著明な増殖がみられた, B-16では好中球の走向がみられた.また,高濃度SSM (100~200μg)は悪性黒色腫に著明なcytotoxic effect を示した.したがって,高濃度SSMの腫瘍内注射では, cytocidal effect による広汎な壊死を増強し, collagenationの促進とともに腫瘍増殖の抑制がみられた悪性黒色腫細胞の移植実験では, athymic及びthymic mouseへの移植癌の間質反応の比較ができ,collagen増殖による腫瘍「封じ込め」には,正常な免疫基盤の重要性が示唆された.(平成元年2月10日採用)

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